内容説明
戦国を勝ち抜いた男の卓越した外交戦略が、この国を平和に導いた――。今川家での苦難の人質時代、太原雪斎から天下国家のあり方、外交論を教わった竹千代。長じてのち、天下分け目の決戦を制した徳川家康が、雪斎の教えを胸に目指したものこそが、諸外国との対等な外交であった。豊臣秀吉によって途絶えた朝鮮との国交回復、さまざまな思惑をもって来日する西欧諸国との交渉、そしてメキシコへの野心……。知られざる家康の後半生を、その外交戦略を支えたイギリス人航海士のウィリアム・アダムス、家康の庇護を受けながらもキリスト教徒としての信仰を貫いた朝鮮貴族の娘・おたあの視点を交えて描き切った、感動の歴史ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
201
植松 三十里、初読です。今年の大河ドラマが「どうする家康」ということで、昨年から今年にかけて家康本が沢山出版されています。私も何作か読んでいますが、本書のテーマは晩年の徳川家康の外交・宗教政策、物語の内容が大変新鮮で、ウィリアム・アダムスやおたあらのドラマも感動的でした。 https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85358-12023/02/15
さつき
73
物語は秀吉の朝鮮出兵のあたりから始まる。ジュリアおたあがメインどころで登場する作品はなかなか無いので新鮮に感じました。ウィリアム・アダムスのようにはるばる海を越え何年もかけて来日する人々がたくさんいたのだと思うと、その野心冒険心の強さに驚かされます。宗教がその熱意の大きな理由の一つである事は、私にはなかなか実感が湧きません。晩年の家康がどんな外交政策を持っていたかは興味深いし、三河一向一揆の経験からキリシタン浪人を強く警戒していただろうことも納得のいく話しでした。2023/10/29
えみ
69
それを海に託した。その選択が失敗だったか、成功だったか…歴史の中でその結論が出されるのは、その選択が過去になってから。そしてそれを決めるのは歴史となって評価できるようになった未来の人々だけである。すなわち家康が行った貿易、鎖国、そしてキリシタン禁制が日本へもたらした影響は意味があったのかという評価。個人的にはこの制度があったからこそ現代の日本があり、当時の平和を維持したと…成功だったと思っている。特に家康に仕えたイギリス人のウィリアム・アダムス(日本名:三浦按針)との関係や夢が日本の海を支えたと信じてる。2022/12/24
だまし売りNo
43
徳川家康の外交を描いた歴史小説である。オランダ船リーフデ号が慶長五年(一六〇〇年)三月一六日に豊後に漂着した。家康は南蛮人(スペイン、ポルトガル)と紅毛人(オランダ、イギリス)の相違を理解し、貿易相手として後者を重視するようになる。 それはキリスト教の布教と貿易をセットにするカトリックよりも、布教しないプロテスタントを重視したと説明される。しかし、キリスト教以前に安易に「大丈夫」と答えるスペイン人の無責任さに不満があった。2023/10/12
つきかげ🌙
18
家康と三浦按針の物語。 大河ドラマで触れなかったエピソードが多く、読んでて面白かった。 家康は本当に先の先まで読んでいたのだなと思った。2023/12/31