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内容説明
「大衆とは資産を持たぬ人々のことでもなく、指導される人々、教育される人々のことでもない。ついに懐疑することを放棄してしまった人々のことである」――常に時代への懐疑の目を持ち続ける著者が「大衆」たちが占拠した戦後日本民主主義のひずみに鋭いメスを入れ、現代における最大のタブー、すなわち、“大衆批判”をあえて行って話題を呼んだ、注目の評論集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
9
評論家としての西部氏の処女作。その後の彼の仕事を思い浮かべながら読んでいました。2014/06/03
白義
5
西部邁の評論家としての処女作と言える一冊。思想家論やエッセイ、紀行も入っていてバラエティーに富んでいるが、主張は一貫して単純、大衆社会を保守主義から批判すること。のこの本で言う大衆とは、現代の知識人のことでもある。自分たちの生や専門、現在に疑問を持たず知的遊戯に堕すものたちへの、極端に偏らない中庸精神の提示。大衆と進歩主義への抗いとして、本書の保守思想は語られる。全体的にはさすがに牧歌的過ぎる気がするが、文明比較の構造、反進歩への旅はなかなかの力作。図式化能力はもちろん、演劇的知性も結構ある2012/05/23
うえ
2
「マルクス的無政体,ロック的政体,そしてヘーゲル的国体のあいだの比較はあってしかるべきだろう…いずれかを採れといわれたら,いやいやながら,私は自分をロックの徒に,つまりリベラル・デモクラットに分類したい。自由民主がひとつの幻想であるとは承知しているが,マルクスの階級国家の死滅とかヘーゲルの有機体国家とかといった過激な幻想に身をまかすほど,私の体質は強靭ではない」「経済成長の鈍化は,現在の貿易構造および産業構造からして,失業の増大を招かざるをえない。失業の悲惨は経験者でないと分からぬ類のことに属する」2014/09/13
ななっち
1
「大衆とは資産を持たぬ人々のことでもなく、指導される人々、教育される人々のことでもない。ついに懐疑することを放棄してしまった人々のことである。」 また西部先生が問うのは、現在の知識人やエリートと言われる人々、システムこそが、まさに大衆に他ならず、大衆批判がタブーとされる中での言問いです。懐疑を持ち続けることの矜持を問われますね。2012/10/21
青ポス
0
オルテガの「大衆の反逆」をもじったタイトルを冠した評論集。読むのに一年くらいかかった。2013/12/23