内容説明
とある団地で5歳上の姉・七海と暮らすみかげ。父とは死別し、母は数年前に出て行ったきり。家計を支える姉に心苦しさを覚えながらも、ぜんそく持ちで、かつ高校でいじめに遭い定時制高校に通っていることもあり、自分の無力さにうちひしがれて、未来に希望が持てず「死」に惹かれはじめる。そんな彼女の前に団地警備員を名のる奇妙な老人・ぜんじろうが現れ、みかげの日常が変わっていく――刊行前から全国の書店員さんたちの熱い感想が続々。新たな夜明けをもたらす、温かさあふれる長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
554
んんんん、これはタイトルと装丁画で損をしてるのではないかなぁ。ドラマでもちかごろ流行りの団地舞台。でもこちらは映像化は難しそうな。今日も日本のどこかで起きているであろう、厳しい現実で満ちている。親の子捨て、孤独死(正確には小さな子がいるが)、貧困、学校でのいじめ、届かない福祉・・・。主人公のみかげが知らないで読むと小学五年生くらいの印象。みかげに七海がいてくれて、親友がいてくれて、ぜんじいがいてくれてよかった。とても好き。2025/06/21
starbro
390
窪 美澄は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 本書は、ネグレクト姉妹老朽化マンモス団地サバイバル物語の感動作でした。但し、表紙と内容が合っていない気がします。 https://www.chikumashobo.co.jp/special/deathbirth/2023/01/03
さてさて
367
主人公のみかげがぜんじろうと共に『団地警備員』として活動する日々の中に確かな成長を見ることになるこの作品。そこには”東京の古びた団地”を舞台にした物語が描かれていました。舞台となる団地のリアルな描写に物語背景が鮮やかに浮かび上がってくるのを感じるこの作品。窪美澄さんらしい細やかな感情表現の中に、みかげが感じ取っていくさまざまな想いを具に感じるこの作品。『死』というものに惹かれていくが故に、そこから見えてくる『生』への思いの強さが逆に浮かび上がってもくる、絶妙な読後感を感じさせてくれる素晴らしい作品でした。2023/05/16
のぶ
235
本作はいつもの窪さんとはずいぶん作風が変わっていた気がした。主人公の棚橋みかげは16歳。姉の七海・21歳と二人だけで暮らしている。みかげが 3歳の時に父親が死去、そして10歳の時に母親は男と家を出てしまった。みかげは学校でイジメに遭って、今は昼にパン工場でバイトしながら夜間高校に通っている。姉の七海は、デリヘル嬢をして2人の生活を支えている。みかげらの住む団地に団地警備員を称するぜんじろうという老人がいた。深刻な家庭環境ながら描写は淡々と進んでいく。最後で人のふれあいの温かさを感じさせられた一冊だった。2023/01/18
いつでも母さん
225
私の好きなヒリヒリした窪美澄じゃないのに、心は反応してしまう。200ページを少しの作品の中に、昭和から令和の現在までのこの国が抱えている問題があった。これが私の住む日本のある一面‥衣食住備わって(時に昼寝もする)私が言うなと顰蹙を買いそうだが。もっと悲惨な子はいるよ。とか、孤独死や高齢者問題は他人事で政治の問題だから。とか、外野の声は救いにも足しにもならない。老朽化した団地で暮らす七海とみかげ姉妹を芯に、死が隣にある『生きること』を強く意識させる作品だった。装画に騙されて窪美澄に泣かされた。2023/01/17
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