内容説明
万太郎没後60年を前にすべての演劇関係者に贈る
「軽妙」の底に漂う「あはれ」、それは「会話」で醸し出されるのか?
沈黙が複雑な感情を照らし、ト書きが時空間の奥行きをつくる。
戯曲は小説、詩歌、批評と並ぶ文学の主要ジャンルであると同時に、俳優、劇場、観客といった演劇の基本的な構成要素である。戯曲の言葉は〈読まれる〉とともに〈話される〉ことを前提としている点で、常に生きた人間の身体性に迫るベクトルを内包しており、演出、脚色、装置、照明、効果、音楽といった要素が加わることで総合芸術としての解釈を可能にする。しかし、戯曲を研究対象にする場合、私たちは無機質な活字に托された言語表現を読み解く以外にその劇的世界を享受する術をもたない。
本書は、万太郎が自身の創作世界をどのように構築していったのか、小山内薫らと始めた〈古劇研究会〉、小説と戯曲を溶解させたかのようなト書き、草創期のNHKラジオ・ドラマに深く関わったことなど、万太郎の戯曲世界を多面的・分析的に読み解いていくものである。
目次
序 レーゼ・ドラマ(読む戯曲)とは何か
第一章 〈古劇研究会〉からの出発
第二章 インヴィジブルシアター(見えざる劇場)の系譜――木下杢太郎から久保田万太郎へ
第三章 方法としてのレーゼ・ドラマ(読む戯曲)
第四章 小説/戯曲の溶解――久保田万太郎のト書き
第五章 「大寺学校」論――はなし・かたり・うた
第六章 「ゆく年」論――「宮戸座」あるいはその陰翳
第七章 原風景としての黙阿弥――その受容と変奏
第八章 ラジオ・ドラマの季節
第九章 久保田万太郎と空襲
コラム 万太郎の原稿用紙
参考文献目録
あとがき
索引
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