朝日新書<br> 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く

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朝日新書
歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く

  • ISBN:9784022952028

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内容説明

大戦時と重なる日本政府のコロナ対応、核保有大国による独立国家への侵略戦争、戦後初の首相経験者の殺害……戦前との連続性ある出来事が続くなか、歴史からどのような教訓をくみ取るべきか。憲法学・政治学・歴史学の専門家が、侵略・暴力の時代に抗する術を考える。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

107
憲法学・政治学・歴史学の碩学による鼎談。融通無碍な政治学者に対して、史実や法律に基づく確固たる信念に貫かれた歴史学者と憲法学者の発言が心に響く。宣戦布告せずに南京進攻した日本軍、中国を見下して行った上海戦での苦戦、日露共通する反ベルサイユ体制の記憶などから、ロシアのウクライナ侵攻と日本の歴史を重ねる加藤先生。憲法9条はパリ不戦条約と国連憲章を踏まえた合理的な条文だとした上で、ホッブス/ルソーの社会契約論、ヘーゲル/カントの歴史観の違いから国際秩序を読み解く長谷部先生。改めて、お二人への尊敬の念を深くする。2023/04/20

樋口佳之

59
人間が積み上げてきた学問の蓄積というものは、ひとが自らの全存在を賭して問うたとき、動かしがたく見えた歴史の流れに対して、爪を立てる方法を教えてくれるもの/「大人の議論」とのコメント書かれている方がおられ、なるほどなるほどと読みながら、その一方で感じていたもどかしさはそこから来ていたのかもと思いました。もう老境なのか、それとも大人に成りきらなかったのか。2023/02/06

紙狸

17
2022年12月刊行。読み友さんに教えられた本。第3章でウクライナでの戦争を論じている。政治学者の杉田敦氏が、日本の1945年のポツダム宣言受諾にいたる経緯をひいて、「ウクライナに原爆が落とされても戦い抜くほうがいいということになるのか」と発言。歴史家加藤陽子氏は1931年「満洲事変」、32年の「上海事変」「熱河作戦」そして37年の「南京戦」と日本の侵略の方に話をふる。ウクライナの戦争から過去のどの戦いを連想するのか。そこに見識が問われる。NATO東方拡大に関する議論はあらっぽくていただけない。2023/03/24

nagoyan

17
優。政治学者の杉田敦、憲法学者の長谷部恭男、日本近代史家の加藤陽子による鼎談。近年の政治、社会状況をそれぞれの専門家的知見から解説を試みる。長谷部氏は総じて性急なラベリングに反対しているようだが、杉田氏は。。。う~ん。加藤氏は、例の学術会議の件で名を馳せたので参加することになったが、そもそも単純な「反権力」の人ではなかったことは明らかなので安定感はある。8割ぐらいは同意できるか。いずれにせよ、大人の議論。大人の知恵がてんこ盛りの良書。2023/01/15

tetsu

16
★4 日本の政治の問題点がよくわかる一冊。 国会をないがしろにする内閣、国民に説明しない政治、2大政党を目指した小選挙区制の問題、無党派層と自民党と弱小野党、などなど。 日本人の政治への関心がとても薄いということを再認識したが、サブタイトルに「時代の分水嶺」とあるように、コロナとロシアのウクライナ侵攻で世界はこれから大きな変革を迎えるかもしれない時に、のほほんとしていていいのか、ちょっと心配です。2023/01/26

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