光文社古典新訳文庫<br> ソクラテスの思い出

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光文社古典新訳文庫
ソクラテスの思い出

  • ISBN:9784334754709

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内容説明

アテナイ出身の軍人・文筆家クセノフォンが、師であるソクラテスの日々の姿を自らの見聞に忠実に記した追想録。師への告発に対する反論と、徳、友人、教育、リーダーシップなどについて哲学するソクラテスを、同世代で同門のプラトンとは異なる視点で描いた、もうひとつの「ソクラテスの対話」。対話篇のソクラテスは相手を問い詰めてちょっとおっかない感じがしますが、ここでは教育者としての師の姿が描かれています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mikio

11
プラトン作品のソクラテスと比較すると、クセノフォンのソクラテスは、ひとりの人間としての親しみをもち、より身近に感じることができる。その姿が、敬神的で節度と自制心と忍耐力があることを良しとする教育者であり、哲学者といった難しさを感じない点にあるのだろう。本書の原題は『覚え書き、回想録』という意味のギリシャ語であるという。『思い出』と言ってしまうと、ちょっと違うような気もするけど。。日本人らしいな。2023/01/15

朝ですよね

9
解説のソクラテス研究の動向が興味深かった。従来はプラトンの初期対話篇のみは歴史的ソクラテスを忠実に描いているといった見解が支配的だったようだが、昨今はそうでもないらしい。著者もいわゆるソクラテス文学から歴史的事実を構成するのは殆ど困難と見ている。本書のソクラテスは敬神的で節度と自制心と忍耐力がある人物として描かれる。これが実際のソクラテスとどれほど近しいかは不明であるが、多少はクセノフォンの創作が含まれている事は明らか。2023/03/07

はる

8
少しペイソスを感じさせる題名。クセノポンがアテネから追放或いは亡命したスパルタやコリントスでアテネのよき日の善き心を思い出しながら綴ったものなのだろう。善き心とはアテネのアカデミアンの杜に出現した対話のある生活、それを実践したソクラテス。恰も目の前でソクラテスが対話をとおし、話者の考え方の矛盾や正当性を明確にしてゆく行為が見えてくる様だった。実際クセノポン がプラトンらと共にソクラテスと対話した時間は僅かだったと思う。ギリシアはペルシア戦争、ペロポネソス戦争、都市国家間の明確な覇権争いとも思えない様→2025/02/25

大森黃馨

7
ソクラテスという死者に対しプラトンはその哲学思考を描き(或いは実際にあった出来事の記述?)クセノフォンは歴史的人物として或いは見本たるべき偉人として彼を描く よくそれを否定的に言われるがそれは不公平というものだろう そもそも我々は歴史上の人物を偉人化英雄化無しに言い換えればフィクションの如くに非ず本当の生の人間を書くことが一人でも出来た事があっただろうか 人ではないが嘗ての太平洋戦争を今の人は今日も続いているウクライナ戦争の如く生々しく感じながら考察しているのか何処か物語のような虚構に思えていないか 2022/11/10

みのくま

6
本書の解説の通りクセノフォンの描くソクラテスは知者であり教師である。確かにプラトン版ソクラテスとは異なるが、しかし共通している箇所もなくはない。プラトン版の野放図なイメージはあまり感じられないがクセノフォン版もやはり常人ではない雰囲気は伝わってくる。おそらくこの共通点がソクラテスの実像を想像する上で重要になっている事であろう。他方プラトン版は人の神経を逆撫でしてしまうソクラテスが描写されるが、残念ながらクセノフォン版だと何故ソクラテスが処刑されたのかが伝わってこない。彼の「ソクラテスの弁明」を読んでみるか2024/04/15

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