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内容説明
俳諧の本分は,たわむれ,滑稽にある.蕉風の確立のもとで,俳聖と称された芭蕉もまた,言葉の力によって,人びとに笑いをもたらすことに苦闘した俳諧師であった.青年期から晩年に至る様々な発句を読み解きながら,「しゃれ」「もじり」「なりきり」などの技法に込められた,芭蕉俳諧の〈あそび〉の精神とその魅力に迫る.
目次
序章 いまこそ「芭蕉へ帰れ」――見失われた俳諧性
第一章 「しゃれ」――掛詞・付合語のあそび
1 掛詞から「しゃれ」へ
2 「水とりや氷の僧の沓の音」――二重の文脈
3 「しばの戸にちやをこの葉かくあらし哉」――たった一字の効果的掛詞
4 「若葉して御めの雫ぬぐはばや」――「抜け」の技法
第二章 パロディ――古典の世界にあそぶ
1 出版メディアと古典の大衆化
2 「ゆふがほに米搗休む哀哉」――『源氏物語』と『枕草子』
3 「たこつぼやはかなき夢を夏の月」――『源氏物語』と『平家物語』
4 「初雪に兎の皮の髭つくれ」――『徒然草』の注釈を通じて
第三章 「もじり」から「なりきり」へ――謡曲であそぶ
1 教養としての謡曲
2 「から崎の松は花より朧にて」――「鉢木」のもじり
3 「木のもとにしるも膾も桜かな」――「西行桜」のやつし
4 「おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉」――「鵜飼」への没入
第四章 「なぞ」――頭をひねらせるあそび
1 〈なぞ〉の変遷と「聞句」
2 「元日やおもへばさびし秋の暮」――元日にどうして秋の暮?
3 「ほとゝぎす正月は梅の花咲り」――梅の花にホトトギス?
4 「誰やらが形に似たり今朝の春」――誰やら」って誰のことやら?
第五章 蛙はなぜ飛びこんだか――「古池」句のあそび
1 「山吹や蛙飛込む水の音」――〈なぞ〉の句にしてパロディ句
2 「古池や蛙とびこむ水の音」――芭蕉の「数奇の者」宣言
3 「草にあれたる中より蛙のはいる響」――語り直された「古池」句
4 「言外の風情.この筋にうかびて」――支考の描いた「古池」句誕生シーン
終章 「芭蕉」の未来
歌句一覧
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図版出典一覧
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oooともろー
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はちまる
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