岩波新書<br> 芭蕉のあそび

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岩波新書
芭蕉のあそび

  • 著者名:深沢眞二
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 岩波書店(2022/12発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004319498

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内容説明

俳諧の本分は,たわむれ,滑稽にある.蕉風の確立のもとで,俳聖と称された芭蕉もまた,言葉の力によって,人びとに笑いをもたらすことに苦闘した俳諧師であった.青年期から晩年に至る様々な発句を読み解きながら,「しゃれ」「もじり」「なりきり」などの技法に込められた,芭蕉俳諧の〈あそび〉の精神とその魅力に迫る.

目次

序章 いまこそ「芭蕉へ帰れ」――見失われた俳諧性
第一章 「しゃれ」――掛詞・付合語のあそび
1 掛詞から「しゃれ」へ
2 「水とりや氷の僧の沓の音」――二重の文脈
3 「しばの戸にちやをこの葉かくあらし哉」――たった一字の効果的掛詞
4 「若葉して御めの雫ぬぐはばや」――「抜け」の技法
第二章 パロディ――古典の世界にあそぶ
1 出版メディアと古典の大衆化
2 「ゆふがほに米搗休む哀哉」――『源氏物語』と『枕草子』
3 「たこつぼやはかなき夢を夏の月」――『源氏物語』と『平家物語』
4 「初雪に兎の皮の髭つくれ」――『徒然草』の注釈を通じて
第三章 「もじり」から「なりきり」へ――謡曲であそぶ
1 教養としての謡曲
2 「から崎の松は花より朧にて」――「鉢木」のもじり
3 「木のもとにしるも膾も桜かな」――「西行桜」のやつし
4 「おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉」――「鵜飼」への没入
第四章 「なぞ」――頭をひねらせるあそび
1 〈なぞ〉の変遷と「聞句」
2 「元日やおもへばさびし秋の暮」――元日にどうして秋の暮?
3 「ほとゝぎす正月は梅の花咲り」――梅の花にホトトギス?
4 「誰やらが形に似たり今朝の春」――誰やら」って誰のことやら?
第五章 蛙はなぜ飛びこんだか――「古池」句のあそび
1 「山吹や蛙飛込む水の音」――〈なぞ〉の句にしてパロディ句
2 「古池や蛙とびこむ水の音」――芭蕉の「数奇の者」宣言
3 「草にあれたる中より蛙のはいる響」――語り直された「古池」句
4 「言外の風情.この筋にうかびて」――支考の描いた「古池」句誕生シーン
終章 「芭蕉」の未来
歌句一覧
関連論稿案内
図版出典一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kana

23
「古池や蛙飛びこむ水の音」ってあるじゃないですか、侘び寂びに情趣を見出す芭蕉の俳句の代表的な一句といわれているあれ。それが実は過去の名歌に因んだユーモアに富んだ一句だったのに、晩年の芭蕉のスタイルにあわせて本人承認のもと再解釈されていた!?っていう信憑性高めの仮説に驚愕する一冊。当時の和歌って現代の私たちとは違う常識や教養をベースに生きる人々のTwitter大喜利みたいな世界なのかな。俳諧的お笑いってどんなだったのか垣間見れて終始内容は面白いのですが、それを説明する文章がとにかく読みづらいのが玉に瑕です。2023/06/05

oooともろー

4
俳聖と呼ばれ、真面目なイメージのある芭蕉。本来は俳諧師。もっと滑稽味あふれる魅力があったはず。「古池や〜」の句にも俳諧特有の「なぞ」が仕掛けられていた。なるほど!2023/04/15

白石佳和

2
芭蕉の新たな価値を見出した貴重な本。芭蕉といえば、わびさびや軽みなど、芭蕉後期の価値観を中心に語ることが多いが、この書では、談林・宗因などの俳諧の流れを汲んでいる点に焦点を当て、言葉遊び的な要素によって新解釈を示す。その解釈はとても説得力があった。このような点はこれまで誰も指摘していない。芭蕉研究の新たな地平を拓く主張である。2023/01/13

はちまる

1
とても良い本だった。にわか芭蕉ファンにはとても。俳諧とは、ちょっと乙なものだったのだなと思った。そして「古池や、、、」の解釈。数奇のもの好きな芭蕉さんの話はとても面白い。「袋草紙」を読みたい。下里さんの話がでてきて興味がさらにわいた。最後の著者の言葉「芭蕉の時代の「文化の基盤」に立ち帰って芭蕉を読め」は大事。2024/06/12

紅林 健志

1
芭蕉の発句を〈笑い〉をキーワードに読み解く。発句「たこつぼやはかなき夢を夏の月」の解釈がおもしろかった。ただ、当初の意図は〈笑い〉であっても後に別の解釈を芭蕉が許容する例もあるので、解釈は状況によって違ってくるわけで、そこの扱いが難しい。2024/03/05

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