内容説明
日本は「事実上,移民社会」と言われながら,安全・安心のうちに生きることができる条件を保障できていない――.入管での理不尽な死,技能実習生の過酷な孤立出産,外国人へのヘイトと監視の目…….シリアで,ウクライナで,世界各国で.国内外で苦境にある人々を見つめてきたジャーナリストの最新報告.
目次
はじめに
1 ウクライナ難民の受け入れと,認定の壁
2 日本はアフガニスタンからの難民にどう向き合ってきたのか
3 入管法は今後どう変わるべきか
4 ウィシュマ・サンダマリさんの死――検証を阻むものは何か
5 仮放免者として生きること
6 孤立出産した技能実習生は,なぜ「罪」に問われたのか
7 「外国人だからアプリで監視」は許されるのか
8 公権力による差別と,求められる法整備
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
53
「あなた」は、読者である私。では誰の隣人? 日本には他の国からやって来た人々がたくさんいる。すぐ隣、さっきすれ違ったかもしれないし、電車やバスで乗り合わせているかもしれない。だから「移民社会」日本なのか・・・。でも、その外国にルーツをもつ人々に対して、日本という国は、日本政府は、どんな対応をしているか?安田奈津紀さんは8つの項目にわたって事実を記してくれた。法改正は「国際基準」にのっとって立案されなければならないと、強説して。こんなにも日本は人権意識が希薄で冷酷なのかと、改めて思った。2023/12/11
秋 眉雄
24
いったい今は何時代なんだというくらい野蛮な人たちがいる。(野蛮/文明・文化がおくれていて、ひらけていないこと。また、教養がなく、粗野で乱暴なこと) 2023/01/26
yuki
7
昨日ウィシュマさんの裁判で映像が一部公開されたというニュースを見ました。この国の外国人に対する冷たい差別が本当によくわかります。あまりに理不尽な出来事に驚きます。そしてまた今朝ベトナム人技能実習生の死体遺棄事件が報じられています…。私も何もしらないままに見過ごしてしてきた問題でした。様々な国籍の人や友人が暮らす街にいながら彼女たちの苦難を知っていたと思っていましたが、こんなにもこの国が冷たいのかと恥ずかしくなります。2023/06/22
ずー
3
入管で起きていることの概要や、日本政府・法務省の意味不明さがよくわかる本。欲をいえば、なぜ日本ではここまで人権が軽視されるのか?というところまで踏み込んでほしかった感はあるが、ブックレットの紙幅では難しいか…。その後、リンさんの事件が無罪になったのはひとまずは良かったが、日本国内にこういう非人道的な組織があることを許しているのがどうにも気持ちが悪い。この社会を変えなければ、次第にその矛先が向けられるのは"外国人"に限らなくなるのではという不安がある。2023/03/28
tmh
2
読んでいて本当に苦しかったし恥ずかしかった(苦しいのはウィシュマさんとそのご遺族をはじめ、本書に登場するような方々であり、見た目も国籍も典型的な日本人である私の推し量れるところではないのだが)。日本が国籍や見た目に関わらず、誰もが安心して暮らせる国であってほしいと思うし、そうでないことが悔しい。 今度入管の見学に行く。現場の職員の方々は何を思っているのか、自分の目と耳で見て聴いてきたい。2023/10/25