内容説明
「民族浄化」「一大家族」「楽土」の歌詞を,ともに声あわせうたった園歌.だれが何の目的でつくったのか.上から押しつけられただけのうただったのか.ハンセン病回復者と長年かかわりつづけてきた歌手である著者が,13あるすべての国立療養所をたずねてそのなぞを追った旅物語.「うたの力」を問いかける稀有な記録.
目次
はじめに ハンセン病療養所の園歌との出会い
ハンセン病問題とは何か
全療養所でうたわれた御歌《つれづれの》
さまざまな園歌のなぞを追う
音楽の力と入所者の思い 抑圧と解放のはざまで
おわりに 時代を超えてゆくうたとの出会い
おもな参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
51
【発せられた音は言霊となり、響いた時空間において真実になる】「民族浄化」「一大家族」「楽土」の歌詞を、ともに声合わせうたった園歌。誰が何の目的でつくったのか。上から押しつけられただけの歌だったのか。ハンセン病回復者と長年関わり続けてきた歌手である著者が、13あるすべての国立療養所を訪ねてその謎を追った――。修士論文「日本の公立ハンセン病療養所の園歌ー抑圧と解放の間で生まれた音楽」を再編。<ことばが声によって発せられ、さらにメロディーがついてうたになるとき、ことばの意味は心の奥深くに刻みつけられます>。⇒2022/12/12
クズンヌ
3
園歌の存在が国体護持に直結していることは明らかだ。何気ない歌詞が天皇が統治する国家論の持つ純血性、それゆえの優生思想、断種政策、ナチズムへと結びついていく。神の国の繁栄を讃え、この身を捧げると言った園歌の構造はかつての軍歌に等しいものがある。身を持ってという点が肉弾から自主隔離、自主拘束に変わっただけで、いわんとしているのはただただ「お国のため」。 一方で無視できないのは、言葉や差別思想を超えてその人、当事者の思い出となって根を張る主観論だ。誰もその人の人生を否定できるものではないだけに複雑な後味を残す。2022/12/17
Shiroshi Sato
2
友人から紹介された本。ハンセン病を療養所の園歌を切り口に、音楽家が書いた修士論文を下敷きにしたブックレット。様々な思いを抱いたり、怒りを感じたり、哀しくおもったり、泣いたりでとても感動的で面白い作品だった。2023/01/10
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