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内容説明
多摩川の中流や、武蔵野線・南武線沿線の地域には、田舎のような郷愁を感じるわけでもなく、下町のような情緒もない、只、時代に取り残された殺伐とした景色が広がっている。早朝の多摩川で対岸の景色を眺めているだけで寂しさがこみ上げてくるような。
『死都調布』作者が漂着した前人未到の旅漫画。
【収録話】
高麗 秋津駅⇔新秋津駅 北朝霞 小野路(多摩丘陵) 横浜 羽村市動物公園 江東区 沼南 夏 府中本町
【特別収録】
作者撮り下ろし・カラー口絵8P
縄文ZINE版「武蔵野」
【巻末寄稿】朝宮運河(書評家・『宿で死ぬ 旅泊ホラー傑作選』編者)
不穏さと脱力感、狂気とおかしみ、残酷とおだやかさ。それらが絶妙なバランスで共存し、混在する令和のミステリー・ゾーン。斎藤潤一郎が再発見したそんな武蔵野の姿は、どこか危うさを感じさせる笑い声を響かせながら、私たちを手招いているのである。
目次
高麗
秋津駅⇔新秋津駅
北朝霞
小野路(多摩丘陵)
横浜
羽村市動物公園
江東区
沼南
夏
府中本町
縄文ZINE版 武蔵野
寄稿 朝宮運河
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
34
つげ義春ファンなら好きなはずだという誰かの言を聞いて相方が買った本。確かにつげ風ではあるのだが、あちらに比べてなにか感ずるようなところは少ない。顔面に無駄な線が多いのも気になる。しかし背景はそれなりにリアリズムがある。「こんなところ本当にあるのか?」と思うような風景もググると本当にあったりするのでビックリする。(辰巳の森海浜公園のパンダ遊具群とか)ステーキの焼き方はそのうち真似してみたい。あとがきは朝宮運河さん。2023/02/21
内島菫
13
作者と同じ名前を持つ作中の漫画家のポーズがつげ義春していて、その二重写しが何ともいえないおかしみを誘う。内省的であるようでいて寸止めで、観念というよりは妄想的で、どこからがフィクションかわからないフェイクさが結構リアルだったりする。斜線の多さは北冬的だけれどつげ忠男のささくれ感ではなく、丸っこいもったりした描線が作者の持つユーモア感覚によく合っている。ほとんど意味なく強調もされず、ツンという西郷隆盛と並んで銅像になっている犬の名前が出てくるのも良い。2022/12/14
mim42
11
おじさんの散歩系。多くの読者が感じているようにつげ義春ワールドに近い。散歩の場所として多摩地区が多く選ばれているところなどもつげ風味。このような作品にオチや意味を探ってはいけないと思った。ほとんど知らない土地だが行ってみたくなる。秋津は確かに蒙古タンメン中本があったなあ、ステーキ肉焼きたくなったなあ。大宮のニューシャトル沿線はヤバそうな話が多く一度行ってみたいなあ、洲崎のあたりは今でも絵になるなあ、よく行った定食屋はもうないが素敵な老夫婦だったなあ、など個人的な追憶の無限連鎖が始まりがちになる。2024/01/27
Mark.jr
4
ちょっとビビるくらいに完全につげ義春が憑依しており、とても良いです。2023/11/01
mintjam_
4
「秋津⇆新秋津」不二家:ケーキ食べ放題 1980円 「北朝霞」あかね薬局1号2号 第二あさかたんぽぽこども園 Y字路バンクシー2023/05/12