内容説明
桶狭間の合戦から本能寺の変まで、従来の日本的な発想では理解できなかった信長の行動を、文芸評論の泰斗が東西の古典を引きながら、その真実に迫る。野間文芸賞&毎日出版文化賞W受賞、歴史文学の名著、待望の復刊! 解説は石原慎太郎。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coldsurgeon
6
織田信長の独創性を、東西の文人の言葉で補いながら、俯瞰的にとらえようとする評論書。信長は、その時代の現実を改変し、人心を一新したかったのである。根底から拡販し、新しい日本を創出する過程が、信長の生き様であった。信長内部の「矩」、それを一般化しようとする「法」、それをうまく言語化できなかったのかもしれない。残念なことに、信長の配下には個性ある将帥はいないがために、歴史は少しつまらないものになった。人は自分の背丈に合わせて人間を知り現実を考える。秀吉も家康も、信長に比較すれば凡庸であったといえるかもしれない。2023/02/08