琉球切手を旅する 米軍施政下沖縄の二十七年

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琉球切手を旅する 米軍施政下沖縄の二十七年

  • 著者名:与那原恵【著】
  • 価格 ¥2,090(本体¥1,900)
  • 中央公論新社(2022/12発売)
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  • ポイント 570pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784120056055

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内容説明

私の目を引いたのは、沖縄から届く封筒に貼られた美しい切手でした。
「琉球郵便」の文字、額面はセントで表示されている切手の図柄は多彩でした。見たことのない南国の植物、鮮やかな色をした魚、紅びん型がた紋様、琉球舞踊、文化財や工芸品……。いつも異なる図柄の切手だったので、手紙が届くとまっさきに確かめるようになりました。いきいきと描かれている動植物はとてもきれいで、友だちに「沖縄のお魚は青いの」と言っても信じてもらえなかったのですが。琉球舞踊の切手には県人会で見た演目が描かれていてうれしくなりました。
 ふだん目にする日本の切手とはまったく違うそれらの切手は「琉球切手」と呼ばれるもので、沖縄で作られているということでした。
 米軍施政下に置かれたのち一九四八年七月から七二年四月まで、普通切手・記念切手・航空切手など二百五十九種(再刷含む)の琉球切手が発行されていたと知るのはのちのことです。(第1章より)

 ……………………

 琉球切手はいまも沖縄の家に多数残っているという話を耳にします。切手としては使えないけれど、手放したくないという人や、ブームのさなかに買い、売りそびれてしまったという人。どこかの家の古い箱に忘れられたまま、ひっそりと眠っている切手もあるでしょう。
 そんな琉球切手は、こんなふうにつぶやいているのかもしれません。沖縄が米軍施政下だったころ、私たちは「言葉」を運んで、旅をしたのだよ、と。
「Final Issue」の切手が発行されてから五十年。けれどいまも沖縄には米軍基地が広がり、米軍統治時代の終止符が打たれたとはいえない状況です。そんな沖縄からの「言葉」は、本土に届いているのでしょうか。(第十章より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃいみー

3
琉球切手の年代ごとの図案だけでなく、デザインした人、関わった人、その年代の沖縄に起こった政治や社会に起きた出来事。琉球王国時代からの建物や芸術や文化が戦争・戦後の混乱の中でどうなっていったか。戦後沖縄の復帰までの27年間がぎゅっと詰まった本。すごい情報量でした。戦後に首里城守礼門や琉球紅型など、琉球の美を研究し残そうとしてきた人達が居たからこそ、今の姿があるんだと知って感動。そうした沖縄独自の美が小さな切手にもぎゅっと詰まっていたんだろうなと思いを馳せる。2024/11/16

とりもり

3
単に琉球切手について知りたくて読んだのだが、米国統治時代の沖縄で発行された切手の話が戦後沖縄の歴史にクロスオーバーするのは当然とも言え、非常に興味深かった。戦争中は日本軍の捨て駒のような扱いを受け、続く米国統治下では米国から様々な抑圧を受けた沖縄の人々が日の丸に抱く複雑な感情。それを切手のデザインに配して不発行となった日米琉合同記念植樹祭記念切手を巡るエピソードなど、色々と考えさせられた。様々なメッセージとともに世界中を旅する小さな切手だからこそ、そのデザインにそれ以上の意味が生まれるのかも。★★★☆☆2023/03/05

かみーゆ

1
与那原さんの沖縄モノなら間違いないと思って読みました。切手があればデザインした人がいるわけで、そんなところを面白く読みました。しかし琉球切手というものの存在を考えたこともなかったわ。そういえば切手って貴重な外資の収入源なんですよね。各章の扉に何枚か載せるだけじゃなくて挿絵でいっぱい入れて欲しかったな。2023/04/23

ふら〜

1
琉球政府下で発行されていた琉球切手と著者や著者の周りの人々の半生をキーにして米軍施政権下の沖縄を振り返る。話が色々派生するので文章のメインストリームを追うのが少々難儀ではあるが、こういうこともあったのねと好奇心はそそられる。県庁前の美榮の成り立ちは興味深かったところ。2023/01/24

安土留之

1
 1960年代の切手ブームのなか、ある種の「外国」である沖縄の切手は人気であった。  本書は、琉球切手を題材に、米軍統治下の沖縄を描いている。丹念な取材に裏打ちされた労作。沖縄関連書籍によくあるのだが、ことさらに沖縄を「被害者」として強調することもなく、また、沖縄が武力制圧し、「加害者」であった奄美諸島との関係もさらりと触れており、「沖縄愛」がありながらも冷静な記述。  なお、同じ著者の『美麗島まで』は、台湾との関係も含めて沖縄の民衆の歴史を叙述した好著。本書を読む前にお読みすることをおすすめする。 2023/01/21

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