内容説明
ヒマラヤ・アンナプルナ山群の聖峰マチャプチャレにアタック中、友を雪崩で亡くし、凍傷で指を五本失いながらも、麻生誠はついにその頂上に立つ。そこで眼にしたのは、月光を浴びて輝く螺旋の群れ――オウムガイの化石であった。帰国後、不思議な現象が起こる。麻生がマチャプチャレの山頂で見た螺旋を思い描くと、耳の奥に澄んだ鈴の音が流れ、二、三秒先の未来が見えるようになったのだ……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
68
ヒマラヤの未踏峰マチャプチャレにアタックした主人公は友を亡くしながら登頂に成功する。そこには一個の巨大なオウムガイの化石があった。という冒頭からわかるように、登山に宇宙、そして時間に螺旋と一時期の夢枕獏を彩ったものがてんこ盛り。そして著者らしく未完に終わっている。主人公に不思議な力が顕現し、黒幕らしき男との邂逅、そして唐突に江戸時代に移った所でプツリと中断。プロローグだけを読まされた感が強い。題材が題材だけに完成すれば、個人的に著者の代表作だと思ってる『上弦の月を食べる獅子』に匹敵しそうなだけに残念。2025/01/07
Kira
22
電子。ノベルス版も文庫版旧版も読んだのに、電子版を手に入れたことがうれしい。本作のタイトルには始めから魅かれている。われわれは月に呼ばれて海から来た、という壮大なロマン。潮の満ち引きがあったから、陸に上がった生物がいて、進化した。螺旋を身の内に秘めながら。そうして、どこへ行くのだろう。螺旋は美しい。本書を読み返すたびに、宇宙や生命の神秘を感じる。2025/10/13
5〇5
6
あらもう、いきなりの夢枕獏節全開ねぇ。山、螺旋、神、月などお得意のワードが満載。サクサク読めちゃうんだけど、終わんないじゃない、これ。本作含めた三部作の一つとされる未来篇の「混沌の城」も未完だし…。プロレス好きの著者に言いたいことは、投げっぱなしジャーマンを繰り出したら、すぐにフォールして終わらせなさいよっ! 流石に30年超は長すぎるわ。2023/05/27
Porco
5
内容はかなり中途半端。未完というかやりたいことを他で書いてしまったので、続編が書かれなくなった作品という前提を知らないとイラっとくるのであとがきを軽く読むことを薦める。陰陽師で慣れ親しんだ詩的な自然の情景表現は色を変え、巌の様に自然を力ある畏れるべきものと感じさせる表現となっている点は作者を知っている人は信頼していいくらい巧みなのがかなり惜しい。 ただ、やっぱり前述のようにほぼ明言されていないだけの打ち切り作品なので石川賢とコラボしていた過去を思うと、そういうところも似なくていいのになと考えてしまう。2023/01/02
三田郎
2
仏教宇宙論と登山、そして螺旋 死と隣り合わせの高山登山をきっかけに螺旋、オウムガイに導かれてこの世の実存を探る 上弦の月を食べる獅子と天を越える旅人を掛け合わせたような中編であった 良作2025/03/03




