内容説明
殺されたのはアナベルという名の少女。これで彼女は、通算十一度、殺されたことになる。少女禍――。超絶的なサイキック能力を持つ彼女の呪いは、死後なお、世界を覆う。「SFJapan」掲載の中篇「獣のヴィーナス」「魔女のピエタ」に、書下し新作「姉妹のカノン」「左腕のピルグリム」を加えた、連作SF長篇。伴名練氏激賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
緋莢
17
2001、2003年刊行の『SF Japan』掲載の二編に、書き下ろし二編を加えて、書籍化したもの。超能力者(サイキック)を人為的に生み出す研究の中で誕生したアナベル。ただ、存在するだけで、すべてを変容させることが出来る恐るべき力の持ち主だったが、その存在を危険視した研究者によって殺される。だが、その後もアナベルは度々現れて、超能力災害、アノマリーを引き起こし…プラハを奇怪なキノコの叢林にして、その胞子がヨーロッパに奇病を蔓延させて(続く2023/04/13
Mc6ρ助
15
『カース・シティの町並みは古ぼけていて、まったく特徴がなかった。・・せちがらい資本が作った都市はどこも同じになるから不思議だ。(p68)』爺さん、若者の書いたものを理解できると思ったが最初の短編の初出が2001年なのでこちらもまだまだ若かった。これほどセンス・オブ・ワンダー溢れる「アノマリー」を提示されても四半世紀の時間を挟むと現実の異常さ(外交努力を素っ飛ばして敵基地攻撃能力とか)の方が際立つのは、これこそ受け手が老化した証拠なのだろう。それでも谷口裕貴さんの復活を言祝ぎたい。望むべくは新たなる長編を。2023/01/27
本の蟲
13
作家、SF紹介者としても絶大な信頼を寄せている伴名練解説と聞いて。人類の超能力開発が確立して半世紀。周囲を変容させる12歳の少女アナベルの能力が暴走。研究者たちによって撲殺された。しかしその後も名前、好物、縁を依り代にアナベルが顕現し、破壊と殺戮を撒き散らす。対抗機関はアナベルを町ごと消滅させる形で事態を収拾させているが…かくして世界は呪われた。少女の災禍に怯え、グロテスクに変容した世界での短編連作。書き下ろしで完結させているが、やはり雑誌掲載された2編の描写と情報、目くるめくイメージに圧倒される(続2024/03/17
sanosano
9
これ凄かったわー.ほとんど説明のないソリッドな形式で,物語からはどんどん取り残されて行く感じが逆に心地良く.素晴らしいイメージの爆発に脳内汁出まくりです.この世界をもう少し覗かせてほしい.2024/03/31
一会
6
既に死んだ超能力者によって、現実が改変されるのを同じ超能力者達によって防ぐ、というベタな筋書きだけど、改変された世界の理解を越えたおぞましさと、人間扱いされない超能力者の境遇という理解できるおぞましさが圧倒的で、暗く陰鬱で救いがない世界なんだけど、だからこそささやかな救いが染みいる傑作。超能力のロジックはどれも素晴らしいけど「人の過去に介入する事で本人の記憶の解釈を変える」が特に面白かった。2023/01/04
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