新潮文庫<br> 首里の馬(新潮文庫)

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新潮文庫
首里の馬(新潮文庫)

  • 著者名:高山羽根子【著】
  • 価格 ¥605(本体¥550)
  • 新潮社(2022/12発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101044316

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内容説明

問読者(トイヨミ)――それが未名子の仕事だ。沖縄の古びた郷土資料館で資料整理を手伝う傍ら、世界の果ての孤独な業務従事者に向けてオンラインで問題を読み上げる。未名子は、この仕事が好きだった。台風の夜に、迷い込んだ宮古馬(ナークー)。ひとりきりの宇宙ステーション、極地の深海、紛争地のシェルター……孤独な人々の記憶と、この島の記録が、クイズを通してつながってゆく。第163回芥川賞受賞作。(解説・大森望)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さてさて

170
『あなたはこの仕事にとっても向いていると思っています』と言われ、『孤独だからですか』と返す主人公の未名子。この作品では、主人公・未名子が『沖縄』の港川の地にある『資料館』で『資料の整理』をし、『記録』としていく一方で、『孤独』という言葉の先に『解答者にクイズを読み、答えさせる』仕事をする日々が描かれていました。一見小説らしからぬ記述の頻出に戸惑いを隠せないこの作品。そんな中に読ませる魅力を感じさせてもくれたこの作品。一筋縄ではいかない芥川賞受賞作の中に、戸惑いを感じながらも新しい世界を見つけた作品でした。2023/08/26

巨峰

58
ちょっと理屈っぽいところもあるけど、SFファンタジー系の文芸小説。記録と記憶を丁寧に保存することにより、そこに生きている人や土地の流れが顕になっていく。ヒコーキって名付けられた宮古馬が素敵です。2024/07/02

NAO

56
誰も来ない資料館の手伝いをし、限られた人とだけ関わる不思議な仕事についている主人公の家に、台風の夜迷い込んできた宮古馬。宮古馬は、「この茶色の大きな生き物は、そのときいる場所がどんなふうでも、一匹だけで受け止めているような、ずうっとそういう態度だった」と描かれているが、それは、未名子の生き方であり未名子がコンタクトを取っていた3人の生き方でもあった。それは、どういう状況にあっても知への思いは変わらない、ということ。2024/08/02

エドワード

51
舞台は沖縄。在野の民俗学者、順さんの資料館の資料整理をボランティアで手伝う未名子。沖縄の複雑な歴史を象徴する、新聞や雑誌の記事、メモ、スケッチ、カセットテープ。一方、未名子の仕事は「孤独な業務従事者への定期的な通信による精神的ケアと知性の共有」だ。それは宇宙、南極、紛争地にいる人々にクイズを出して会話すること。この風変わりだが意義ある作業の間に、沖縄在来種の宮古馬が現れる意外な展開。明るい沖縄の哀しい歴史、孤独な魂のふれあい、クイズの醸し出すユーモア。さすがの芥川賞、不思議な物語世界を楽しませてもらった。2023/05/12

KEI

40
何故、図書館へ予約したのかが分からなかった。そもそも芥川賞は苦手なのに… 主人公 未名子は沖縄の古びた資料館で資料整理をボランティアで行う傍らで世界の果ての孤独な仕事をしている人に向けオンラインでクイズを出す仕事をしている。本書で繰り返されるテーマは「情報」「知識」「記憶」であり、それは「実体が無いものの復権」であるのだろう。そして沖縄自体が破壊されて来た歴史を伝承する暗喩的な存在が宮古馬の存在なのだろう。未名子が世界へ送ったデータは役立つのか朽ちるのか。私には難しかった。2025/02/12

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