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内容説明
日本人のメンタルヘルスの問題は深刻だ。周りに助けてくれる人がいなくて相談できず、精神科へは怖くて行けないと思い悩み、日々苦しんでいる。アニメ、ゲーム、漫画、小説といったストーリーを語る作品によって、誰でも気軽に心をケアすることは可能だろうか。イタリア人オタク精神科医が精神医学や臨床心理学の知見をベースに、日本のアニメ文化を融合させた独自の物語療法である「アニメ療法」を提唱する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
46
このイタリア出身の精神科医さんの本が面白くて面白くて…。最初「アニメセラピーって…それってマンガ普段読みしている人間はとっくに知ってる効果だしなあ」な~んて軽い気持ちで手に取ったら、もうパント―先生ったら…ガチで理路整然と…!まさかギリシャ悲劇と喜劇から来るとは思わず、のけぞっちゃいました。でも、フィクションを通じて何かを学ぶというシステムは、万国共通なんだなあ…と今更ながら感慨深かったです。既存の映画療法などをふまえた上での研究。完成が楽しみです。…でも、読書好きの仲間たちには周知の事実( ´艸`)2024/09/23
綾(りょう)
14
著者は日本のアニメが好きなイタリア人精神科医。タイトルとは裏腹に硬い内容で面食らった。まず、心理学の分野の一つに、「ナラティブセラピー」という治療法があることを知った。物語であれば、媒体はなんでもよいのではないかと思ったが、著者は日本のアニメが実写のドラマとは一線を画すと主張する。物語は現実逃避のために見るものだから、あまりにもリアルすぎると、現実逃避できないのでしょうね。2025/02/27
みーちん
9
著者は日本で精神科医になったイタリア人というのをツイッターのTLで見かけ、どんな内容なのか気になって予約した本ですが予想以上に硬派な内容でした。アニメ療法の概念(物語作品が人の感情を動かすプロセス)図が出てくるのですが、現実との距離が近すぎると認知的処理、評価を行うので物語に没入できず批判的になる。つまりリアルすぎると不気味の谷のように現実世界に引き戻されてしまうという話や、情報量は適度に欠落していた方が自分に都合の良い解釈ができて没入しやすいという説明は興味深かったです。アニメ療法、是非実現してほしい。2022/12/25
うっかり呑兵衛
8
公共図書館。「ア二メ療法は、フィクションの要素を持ちながら人間の葛藤、身体的,精神的、関係的、社会的苦悩をリアルに描く作品の鑑賞を通じて精神の治癒効果を狙う療法である」(P170)とのこと。物語療法の応用となるが、リアリティがアニメーションであることにより薄れて受け容れやすくなるというのは自覚もあり納得できた。2025/05/06
史
8
アニメだけではなくて、フィクション、ひいてはエンターテイメント全般の可能性についての新書。特にアニメを軸にしているけれども、その現実と違う世界においても現実と通じるものがあり、それを見て聞いて(ゲームであれば演じて)心のわだかまりを解くといった形。昨今エンターテイメント嫌いがネットで苛烈な意見を放っておりますが、しかしそれでも自らを人間を導く力を持っている。この新書はその一歩目といったところでしょうか。良い本です。2023/02/22




