ちくま新書<br> ウクライナ戦争

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ちくま新書
ウクライナ戦争

  • 著者名:小泉悠【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/12発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075284

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内容説明

2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し、第二次世界大戦以降最大規模の戦争が始まった。国際世論の非難を浴びながらも、かたくなに「特別軍事作戦」を続けるプーチン、国内にとどまりNATO諸国の支援を受けて徹底抗戦を続けるゼレンシキー。そもそもこの戦争はなぜ始まり、戦場では一体何が起きているのか? 数多くのメディアに出演し、抜群の人気と信頼を誇る軍事研究者が、世界を一変させた歴史的事件の全貌を伝える待望の書き下ろし。

目次

地図
略語表
はじめに
「世界の終わり」を待っていた場所で
舞い戻ってきた大戦争
本書の問いと構成
一当事者としての視点
若干の補足
第1章 2021年春の軍事的危機 2021年1月~5月
1 バイデン政権成立後の米露関係
集結するロシア軍
あっけない幕切れ
トランプ退場に神経を尖らせるロシア
牽制は効いたか?
ウクライナ・ゲート
ナヴァリヌィ・ファクター
2 ゼレンシキー政権との関係
コメディアンvsスパイ
シュタインマイヤー方式をめぐって
窮地に立たされるゼレンシキー
メドヴェチュークの政界復帰
ゼレンシキーの焦り
第2章 開戦前夜 2021年9月~2022年2月21日
1 終わり、そして続き
ロシア軍の再集結
高まる緊張
米国の「情報攻勢」とロシアの「外交攻勢」
2 プーチンの野望
グラデーション状の勢力圏
「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」
歴史、主権、「パートナーシップ」
プーチン論文をどう読むか
3 整った侵攻準備
公開情報が暴くロシア軍の動き
ベラルーシが前線基地に
非核と中立も放棄
4 プーチンのジェットコースター
迷う二人の筆者
プーチンの「ハラショー」
「虐殺」発言と膨れあがるロシア軍
針の筵に座らされるラヴロフ
パワハラ会議
第3章 「特別軍事作戦」 2022年2月24日~7月
1 失敗した短期決戦の目論見
斬首作戦
ロシアが張り巡らせた秘密ネットワーク
「特別軍事作戦」とは何なのか
逃げ出す内通者たち
高慢と偏見
「死ななかった」ゼレンシキー
2 ウクライナの抵抗
持ち堪えるウクライナ軍
「聖ジャヴェリン」の加護の下で
ウクライナの「三位一体」
全力を出せないロシア軍
3 撤退と停戦
ロシア軍のキーウ撤退
会議は踊る
西側の大規模軍事援助
振り出しに戻った停戦交渉
ブチャ
4 東部をめぐる攻防
ロシアによる核の威嚇
「武器が足りない!」
マリウポリの陥落とルハンシクの完全制圧
ロシア軍の成功要因
第4章 転機を迎える第二次ロシア・ウクライナ戦争 2022年8月~
1 綻びるロシアの戦争指導
軍への不信を強めるプーチン
将軍たちの失脚
情報機関との軋轢
2 ウクライナの巻き返し
HIMARSがもたらしたロシアの攻勢限界
ウクライナが与えられるものと与えられないもの
主導権はついにウクライナへ
3 動員をめぐって
「我々はまだ何一つ本気を出していない」
プーチンの「ヴァイ……」
ロシアの動員態勢
総動員は本当にできるのか
それでも総動員を発令できないプーチン
部分動員へ
4 核使用の可能性
核兵器の使用という賭け
エスカレーション抑止は機能するか
核のメッセージング
効かなかった非核エスカレーション抑止
第5章 この戦争をどう理解するか
1 新しい戦争?
テクノロジーが変えるもの、変えないもの
EnablerとEnabled
ハイブリッド戦争──「戦場の外部」をめぐる戦い
ロシアの「ハイブリッドな戦争」とウクライナの「ハイブリッド戦争」
2 ロシアの軍事理論から見た今次戦争
「新型戦争」
「新世代戦争」
プーチン少年の破れた夢
限定全体戦争?
3 プーチンの主張を検証する
ウクライナは「ネオナチ国家」か
根拠の薄い大量破壊兵器開発説
ロシアはなぜ北欧を攻撃しないのか
プーチンの野望説とその限界
おわりに
「古い戦争」としての第二次ロシア・ウクライナ戦争
逃れられない核の呪縛
主体的な議論の必要性
あとがき──小さな名前のために
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

259
双方の被害がこれだけ拡大してもプーチンはなぜ退かないのか。それは彼の頑なで偏った歴史観に拠るのか? シャツ姿で自撮り映像を公開し続けるゼレンシキーという男がウクライナの抵抗を呼び起こし、プーチンの計算を狂わせたという指摘は(5章の新しい戦争論とも少し関わり)なるほどと思った。開戦後1ヶ月の粘りを見て西側諸国は重装備も含めた軍事援助を行い(ただし第三次世界大戦にならぬよう神経を尖らせつつ)今に至る。ほぼ証明されたロシア軍による虐殺、性的暴行は(ウクライナ側とて非の打ち所がないとは言えぬにせよ)到底許せない。2023/05/10

absinthe

177
2022年9月の本。ロシア・ウクライナの軍事衝突に関して、小泉先生が報道で語った事、その時に持っていた情報と持っていなかった情報。それらを踏まえ、どう考えどう発言したかが丁寧に解説されている。すでに部分動員令は発令され若者が線状に駆り出されていたロシア。兵器や兵站について、あまり知られていなかった背景も語られる。ハイテク戦争と語られることの多いこの戦争だが、どちらかというと旧態依然とした古い戦争にカテゴライズされる。2023/05/22

まーくん

171
ロシアと軍事の専門家として最近とみに注目されている小泉悠氏。豊富な専門知識で公開情報から状況を分析。ウクライナ戦争は未だ終息の見込みも立っていない。本書はあくまでも上梓された2022年9月時点の状況分析だが、その後の戦況展開は概ねその通り。双方、言い分はあろうが、ロシアが準備万端、動員をかけウクライナに侵攻したのだから正義はロシアにあるとは思えない。何がプーチンにそうさせたのか?ロシア・ウクライナの民族的一体性?ソ連邦崩壊に伴う各共和国の独立時の国境線修正?NATOの急速な東方拡大への危機感?⇒2023/01/15

岡本

157
Kindle。ロシアの専門家であり軍事研究者の著者がロシアによるウクライナ侵攻を纏めた一冊。22年9月に書かれた為、現在の状況と異なる点もあるが理解が深まった。著者の言う様に、大国の軍事的侵略が成功例となると日本にとっても都合が悪いので他人事とせず注視していきたい。2023/12/06

rico

153
戦争とロシアの専門家としての冷静な分析。始まるまでと昨年9月までの経緯。報道される断片的な情報が一つの絵になっていく。一方小泉さん自身のとまどいも感じられる。断言を避けつつ、何故にと問い続ける。具体的なことは思い出せないけど、報道番組で小泉さんが本気で怒ってたのを覚えてる。あとがきを読んで腑におちた。犠牲者はただの数ではない。それぞれの人生を生きていた人間だということが見えているのだ。戦いの終わりは見えない。戦争は始めるより終わらせる方が難しい。今はただ、この愚行が一刻も早く終わることを祈るしかできない。2023/01/27

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