内容説明
アウグスト賞受賞のスウェーデンの巨匠がおくる、北欧版『森の生活』。
リス、ミツバチ、キツネ、ワタリドリ、アナグマ…
詩人のコテージには、さまざまな動物たちとの出会いがあふれています。
著者はその出会いに触発され、その生き物たちの「言葉」を、
詩人の感性で受け取り、自然と生命への思索を広げてゆきます。
抒情豊かな文体で紡がれる、文学とサイエンスの新たな交差点。
「スウェーデン語で『アルファベット』を意味するbokstavは、
ブナ(bok)材に文字を刻んだことに由来する……
書くことの目的は、未来へ向けて生命の本質を伝えることではないだろうか」(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taku
14
心に留まる文が多々あり、読んでいて嬉しくなるエッセイだった。購入したコテージ暮らしで自然を見つめ生命と出会う。ときには建物内への闖入者あり。独自の表現や言語を持ち意志伝達する、鳥、昆虫、動物、海洋生物、そして植物と様々な生き物について思索する。詩人・エッセイストである著者の感性と、生物学的記述が多いことに心を掴まれた。文学的、詩情表現豊かな専門家が書いているみたい。音、音楽に関連したトピックもちらほら。惑星の音域、昆虫の羽音で形成したウィングビート・ミュージックの音階、香水調合の天然香料の音階などは、 2023/02/11
ポテンヒット
10
エッセイの中に生物学的考察がたっぷり盛り込まれている。スウェーデンにある著者の改築中のコテージを拠点に、ミツバチの巣や微生物の世界へ行ったかと思えば、生物が生まれる太古の海や宇宙にまで話が広がる。ミクロからマクロまで時空を越えた旅をしているかのような読書だ。香りと音階を結び付けて考えた事がなかったが、ドが樟脳、レがスミレ…と一例が挙げられていたのが何となく分かる気がして楽しい発見だった。地球上の様々な生物が網目のように繋がり、お互いに作用し合いながら成立している。人間を頂点に置かない考えも良かった。2023/02/23
urigaya
0
きわめて学術的でアカデミックな内容の書物である。が、挿絵として描かれている小さなイラストが、こころをあかたかたく和やかにさせてくれる。「植物の感受性」で論じられるワイン醸造時のエピソードが神秘的である。ブドウの開花時と、収穫時の、年に2回の兆候。どんなに離れた場所で醸造していても、現れるという。面白そうなトピックばかりで、ついつい夜更かししてまで読んでまうほどだった。2022/12/31
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