内容説明
生きるべきか、死ぬべきか――「優柔不断」な青年は、ある答えにたどり着く。
父を殺された青年ハムレットは、なぜ復讐を先延ばしにするのか。「理性」と「感情」に引き裂かれる近代人の苦悩を描き出した、シェイクスピア悲劇の最高峰。単なる「復讐劇」ではなく、存在の問題を追求する哲学的な作品として、シェイクスピア研究の第一人者が明快に解説する。書下ろしとなるブックス特別章「ハムレットの哲学」収載!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
99
今尚新たな解釈がなされているシェイクスピアのハムレット。有名な「to be, or not to be」とは、「非道な運命の矢弾をじっと耐え忍ぶか、怒涛の苦難に斬りかかり、戦って相果てるか」であり、理性と熱情のジレンマとの解説になる程と納得しました。「弱き者、汝の名は女」とあるハムレットに登場する女性は王妃ガートルードとオフィーリアの2人だけ。ハムレットの尼寺へ行けと言われ正気を失い「水の中で暮らす妖精のように」最期を迎える様を描いたロンドン、テート・ブリテン所属のミレー「オフィーリア」は漱石も鑑賞した。2023/12/24
takakomama
7
時代背景なども含めた詳しい解説に、理解が深まりました。たくさん翻訳があり、翻訳者の苦労もわかりました。作品の解釈も十人十色。舞台や映画も見たくなりました。2023/07/11
さくら
4
シェイクスピアと聞いただけで、難解で私には理解しきれないと思って、読むことを避けていた。本書を読んで、世界中の学者が研究しても解釈が分かれていると知り、少し安心した。分からない所があっても、仕方がないのだ。ハムレットが、生きるべきか死ぬべきかと言うシーンは、ただ迷っているのではないとは驚いた。ハムレットは自分の気持ちを抑えて生きるか、爆発させて死ぬのか、どちらが気高い生き方なのか考えているということか。是非、舞台を見て、自分なりの解釈を考えてみたい。2023/05/05
らる
3
シェイクスピアの創作は、リアリスティックな整合性でなく、奔放な想像力をよりどころにしていた/ハムレットは『人はなぜ生きるのか、いかに生きていくべきか』という哲学を描いた/俺がひとりで悩んでいてもしょうがない、という悟りに至る/やろう、が、やらねば、に変わると、色褪せる/死に至るまでの時間は、すぐである。あれかこれかと悩んでいる場合ではない。一瞬一瞬を十全に生きねばならない。「覚悟がすべて」だと、いつ死んでも悔いのない生き方をする/神にゆだねるとは、何もしないことでなく、人としてなしうるすべてをすること2024/03/08
しげりん
3
シェイクスピアを読んでもその深いところは私などにはわかりはしない。そんな自分にぴったりのテキスト。 To be or not to be, that is the question.からLet be(あるがままに)悟りへ、実に分かりやすい解説!! 100分de名著テキストがブックスになって図書館にあるとは知らなかった。放送はオンデマンドで観ることができるので、これからはブックスを借りて観ることにしよう。2023/01/20
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