「地方」と性的マイノリティ - 東北6県のインタビューから

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「地方」と性的マイノリティ - 東北6県のインタビューから

  • 著者名:杉浦郁子/前川直哉
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 青弓社(2022/11発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787235152

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内容説明

「進んでいる東京/遅れている地方」は本当なのだろうか。
日本の性的マイノリティと「地方」を研究テーマとする初の書籍。

全国でおこなわれている「同性婚」訴訟や自治体のパートナーシップ認定制度、差別禁止を目的とした法整備に関する議論など、性的マイノリティをめぐる社会的な動きは近年ますます活性化している。

活性化した背景には、当事者が中心になり立ち上げた勉強会や交流会、セミナーやシンポジウム、政策提言、プライドパレードなど、 さまざまな団体が長年おこなってきた市民運動がある。そうした活動は東京などの大都市が中心と見られ、「地方は遅れている」という一面的な見方をされる場合も多いが、はたして本当にそうだろうか。実際に地方で活動する性的マイノリティ団体のスタッフたちは、地域性や自分たちの活動をどのように考えているのだろうか。

東北6県の19団体・23人のインタビューからは、「都市」/「地方」という単純な二項対立では捉えられない多様な実態が見えてきた。地域の実情に応じた活動手法、自分が生まれ育った「地元」で活動することへの思いと葛藤。「露出」することやメディアに対する柔軟な考え方。2011年の東日本大震災以前から続く、厚い活動の蓄積。そして震災が東北の団体の活動に与えた影響……。

いままでのセクシュアリティ研究で見過ごされてきた「地方」の実態を、当事者・団体スタッフたちの豊富な語りから考察し、性的マイノリティをめぐる政治と地域性についての新たな見取り図を提示する。

目次

まえがき 前川直哉

序 章 本書の構成と「東北調査」 前川直哉/杉浦郁子
 1 本書の目的と構成
 2 東北調査について

第1部 東北の性的マイノリティ団体

第1章 概要と歴史 前川直哉
 1 東北の性的マイノリティ団体の概要
 2 東北の性的マイノリティ団体の歩み

第2章 「地元」と活動 前川直哉
 1 「地元」で活動するということ
 2 イベントとクローゼット
 3 地域で情報をどう発信するか
 4 「東北は保守的」は本当か

第3章 「LGBT」内部の差異とジェンダー 前川直哉
 1 活動とゲイ男性
 2 ジェンダー不平等という課題
 3 「必要に駆られて」活動するトランスジェンダー

コラム1 インターネットと紙メディア 前川直哉

第4章 東日本大震災とその影響 前川直哉
 1 東日本大震災と性的マイノリティ
 2 震災後の交流、団体間の協働
 3 東北の経験から学ぶために

第2部 「地方」と活動手法

第5章 「露出」の期待に対処する――「地方」の視点から可視性の政治を問いなおす 杉浦郁子
 1 可視性の政治に埋め込まれたメトロノーマティヴィティ
 2 「露出」を管理する実践
 3 「露出」を前提にしない実践
 4 「カミングアウト/クローゼット」の二項対立を攪乱する

第6章 「奇妙な他人」を「身近な隣人」へ変える――意識啓発活動のイメージ管理 杉浦郁子
 1 「地方」の承認の政治が置かれている文脈
 2 「身近な人になる」実践
 3 「身近な地域住民」としてのイメージ管理で得られるもの

第7章 街の通りに出ていく――地域における「アウト」な活動 杉浦郁子
 1 パレードの政治的意義をめぐる議論
 2 活動の拠点を移す――青森へ
 3 コミュニティカフェ&バーそらにじをオープン
 4 青森レインボーパレードを開催

第8章 地域の「アライ」と協働する――性的マイノリティとダイバーシティ 杉浦郁子
 1 「ダイバーシティ推進」の収益化
 2 ダイバーシティふくしまの活動
 3 ダイバーシティこおりやまの活動

コラム2 ろうLGBT東北(DEAF LGBT TOHOKU)――「聞こえるLGBT」が「聞こえないLGBT」のバリアに出合う 杉浦郁子

あとがき 杉浦郁子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

カモメ

7
性的マイノリティが集う場を開放的にすると職場の人に会うかもしれないと参加を躊躇するが、当事者限定にすると参加することが当事者である表明になってしまうとの葛藤を抱える。地方は保守的だと言われるが、顔出しで活動することへの最大の障壁は地元かどうかと言える。表に出るかひっそり生きるかの二択ではないとの指摘もあった。地方では性的マイノリティが東京だけに存在している「奇妙な人」として他者化されてしまう問題も抱える。いかに「身近な地域住民」と受け入れてもらえるか試行錯誤している様子が伺える。2023/03/18

瀬希瑞 世季子

6
「地方」は、東京など大都市部に比べて「保守的」であり、その保守性が性的マイノリティ団体の活動にとって大きな障壁になっている……こうした認識が語られることは本書の調査でも何度もあったが、そこでの語りを細かくみていくと、そこで実際に語られているのは地域性とうよりは、自分が生まれ育った「地元」で活動することへの恐怖感やためらいであることが多かった。幼少期や学生時代からの知人が多く住んでいたりする「地元」だあるための活動の難しさ。2024/10/30

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