内容説明
鶴見俊輔の原点にして主著ともいえる前期-中期の名アンソロジー、初めての文庫化。鶴見自身が自身の全作品のなかで最も気に入っていたという論考「かるた」を収録。解説:黒川創
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
9
これが五十年以上前に出たものだという事実に、複雑な感慨を覚える。一見、前時代的で、今では悪き意味でのリベラル左派のレッテルを貼り付けられかねない言述も散見されるが、同時にこれが半世紀以上も前に書かれたものかと驚きを禁じ得ない鋭い知見も少なからず見受けられるのだから侮れない。個人的には哲学の専門用語について画期的とも言える提言をした「哲学の言葉」がとりわけ興味深かったか。哲学の専門用語を巡る状況が、この当時から一歩も進歩していないという事実に嘆息。また、「ヴァイキングの歴史」は続編を書いて欲しかったか。2023/03/18
huchang
4
多元という言葉を40年代から60年代にかけて書かれたものに見るとは思わず、この人の境界の相当なもろさを意外に感じるともに、相当に繊細なお人であるとお見受けした。お見受けしたのだが、初期の仕事としては退屈な部類やな…という印象。名前が売れてる思想家のデビューって良いも悪いも印象に残るモノが多いんだが、若い頃にしちゃ平凡なんよな。当時コレを読んだ人にこの作品から受けた印象を教えてもらいたいなあ。2024/05/09
peco
1
鶴見俊輔が20代から40代という働き盛りに書いた論考集。多くの新しい気づきを得た。新渡戸的折衷主義。賞味期限はとうに過ぎているのに日本の政治、官僚体制は未だ新たなフレームワークを見出すことができておらず政策の混乱ぶりの一端を見る。三部においては逃れたくても逃れることのできなかった知識人の消極的待避。苦渋の思いが滲んでいる。時代や軍部よりも己れ自身に対して。その正直さが戦後の行動に繋がっていくのだろう。そして我々も「自己を含まない集合」として論を張ることがいかに無責任なことか自覚し続けねばならない。2023/10/20
ツッチャン
0
私たちは、「鶴見俊輔」を忘れていないか。過去の思想家として回想していないか。鶴見俊輔は、まちがいなく日本の「哲学者」であり、現在進行形の思想家だ。日本の現実にねざして問題を抽出し、思考し、行動した。ことばだけではなく、生きざまそのものが「哲学」の実践だ。生きざまを同時代で経験できなくなった私たちは、せめてことばを受けとり、自分なりの咀嚼して、実践していく必要がある。思想は凝り固まったイデオロギーでは決してない。生々しい現実にねざした実践だ。いまこそ「鶴見俊輔」が私たちには必要だ。2024/05/19
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