内容説明
1853年にペリーが来航し、日本は開国へと向かう。明治維新後、条約改正や日清・日露戦争、第一次世界大戦を経て、世界の大国となった。だが1930年代以降、満州事変、日中戦争、太平洋戦争に突入し、悲惨な敗戦に終わる。日本は世界とどう関わってきたのか。破局の道を回避する術はなかったのか。国際秩序との関係を軸に、幕末の開国から太平洋戦争まで、日本外交の歩みをたどる。近年の研究をふまえた最新の通史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
117
開国から太平洋戦争に至る近代史を「外交」という切り口から概説した一冊。人種差別に晒されながらも、帝国主義外交の欧米列強に伍してきた外交官たちの苦労がよくわかる。本書の中に「日本外交を導いていたのは経験を積んだ有力外交官。彼らが悩まされたのは、対外交渉以上に国内の合意形成」とのコメントが頻出するが、世論より外交官の方が正しかったという意味なんだろうか。陸奥宗光の韓国への強硬姿勢、小村寿太郎や林董による満州権益への固執、四国同盟を目指した松岡洋右など、超一流の外交官たちが敷いたレールは正しかったのだろうか。2023/01/23
skunk_c
71
若手研究者の手による幕末~アジア太平洋戦争期までの日本の外交をコンパクトに俯瞰したもの。一文一文が短く歯切れが良いので、とても読みやすく、中高生でも苦労なく読めるのがまず一番の特徴。その分内容はあまり深入りせずに、流れを重視する。また、外交官出身の首相にも注目している。特に伊藤、原、浜口といった力のある首相を比較して論じている部分が面白かった。ただ、外務省が徐々に肥大化して派閥化するという指摘はあったが、その内容まで十分には踏み込めていない。課ごとの特徴の整理とかあったら嬉しかったのだが。入門には適する。2022/12/28
venturingbeyond
38
タイトル通りの簡潔な通史。あとがきで著者が「学術的知見を基礎にしつつ情報提示より論に重きを置くような、昔ながらのスタイルの新書もなお意義があると思っていた」と述べている通り、コンバクトな叙述で、近代日本の外交史の流れを過不足なく伝えている。詳論に進もうとする読者には、充実の文献案内が巻末にあり、これも本書の価値を高めている。一部のプロで外交が完結しなくなった時代、他の統治機構を担うアクターとの情報・見解の共有や世論との的確なコミュニケーションの重要性がしっかりと伝わる一冊。2022/11/23
MUNEKAZ
22
若手の外交史家による通史。戦前の日本外交を貫く原則として「利益」「正当性」「公平性」を上げ、列強との協調の中で利権の最大化を目指したとする。それは戦前日本外交の国際社会への信頼を示すのだが、同時に列強との関係という「水平方向」ばかりに気を取られ、占領地の人々や一般大衆への理解という「垂直方向」への配慮を怠る要因となる。「新外交」の時代に、内と外で日本外交への好意的な世論形成に失敗したことが、軍部の台頭に飲まれる結果に。外交の専門性と大衆への理解という、今日にも通ずる問題である。2022/12/18
ほうすう
21
開国から始まり終戦にいたるまで近代日本の外交を新書一冊ですっきりと解説した書。 印象的だったのは第一次世界大戦のあたりまでの日本外交では”重視されていたのは大国間における正当性や公平性であり、倫理的な正しさではない。”という指摘。それが太平洋戦争の時期になると正義や倫理を重視する方向に傾いてしまったという理論は分かりやすかった。2023/03/06
-
- 電子書籍
- 剣客旗本と半玉同心捕物暦1 - 試練の…
-
- 電子書籍
- ダンジョンに潜むヤンデレな彼女に俺は何…
-
- 電子書籍
- お気楽令嬢は、婚約破棄にほくそ笑む 第…
-
- 電子書籍
- 公認心理師への関係行政論ガイド
-
- 電子書籍
- この指先に世界のすべて(話売り) #8




