ちくま学芸文庫<br> 社会分業論

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ちくま学芸文庫
社会分業論

  • ISBN:9784480098313

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内容説明

近代社会はいかにして誕生したのか、社会はどのように分化・発展していくのか。そもそも人類はなぜ社会を必要としたのか──。これら難問を解く手がかりが「分業」である。分業の進展が商品生産を飛躍的に向上させ、資本主義の発展に大きく寄与したことはいうまでもない。だがそれ以上に、分業は新たなかたちで人々を結びつけ社会の礎としての役割を果たしてきた。「機械的連帯から有機的連帯へ」というテーゼとともに語られる本書は、ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』と双璧をなす社会学の原点として高く評価されている。デュルケーム畢生の大著を、定評ある名訳で送る。

目次

内容紹介/第二版序文 職業集団化にかんする若干の考察/第一版序文/序論 問題/第一編 分業の機能/I 分業の機能を決定する方法/II 機械的あるいは類似による連帯/III 分業によるあるいは有機的連帯/IV 以上のことについての別証/V 有機的連帯がしだいに優越することおよびその結果/VI 有機的連帯がしだいに優越することおよびその結果(つづき)/VI 有機的連帯と契約的連帯/第二編 原因と条件/I 分業の進歩と幸福の進歩/II 原因/III 二次的要因──共同意識がしだいに不確定になること、およびその原因/IV 二次的要因(つづき)──遺伝/V これまでの結論/第三編 異常形態/I 無規制的分業/II 拘束的分業/III その他の異常形態/結論/第一版序論 問題/訳者解説/あとがき/『社会分業論』文庫版解説(菊谷和宏)/事項索引・人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

18
共感できたところは、自律するということは逆に依存できる手段が増えるということ。例えば手足自由であれば階段からあらゆる交通手段を利用できるが不自由であれば、エレベーター、車いすで平らで広い場所など制約ができる。機械的連帯と有機的連帯という区別は言いたいことはよくわかるが、どちらかが良いということもないと思えるし、近代化において自然に有機的連帯である労働組合や同じ趣味のグループなど機械的連帯に代わるものができるというわけではなく、能動的に動かないと、そのような中間団体というものは作れない。2025/02/22

てれまこし

11
伝統的共同体は有機的であり、近代社会は機械的。一見そう思われるんだが、デュルケムにおいては逆。たぶん、自由主義が自分のことばかり考える人間を増やし社会を解体してる、という保守からの批判に応えた。近代社会にはその独自の道徳的基盤があって、そっちの方がむしろ有機的だと言い返してる。だけど、分業が進むと自然に連帯が生まれるのか。経験的に見てもこれが怪しい。社会科学と政治的実践におけるデュルケムの曖昧さも、一つはここから生じる。連帯が自然に生じるなら行動は要らないはずだが、デュルケームは行動の必要も捨てられない。2022/05/25

どら猫さとっち

10
2月のNHKEテレ「100分de名著」で取り上げることになり、気になって読んでみた。デュルケームはフランスの社会学者であるけど、その社会学に関心が深い自分には、かなり難解だった。番組は観ていたが、自由というのはたとえ解放されても、迷いや不安もある。社会と個人を繋げるものがなければ、人は生きていけないということがわかる。デュルケームは、今後も読んでいくだろう。2025/03/02

富士さん

5
社会学やっているのに今更初見。この分厚さに示されるように回りくどく、昔の学者によくある常識を自明の前提とする傲慢さを感じますが、言いたいことはとてもピュアなように感じます。分業によって人が疎外され、アノミーに陥るという状態はあくまでも分業の異常な展開であって、ちゃんと分業が発展していれば人と人との結びつきの密度を強めるように作用し、個人の孤立を許さず、アノミーを弱めるように作用すると論じられているのだと読みました。第一次大戦はこういう考えの絶対的な反証であって、大先生の衝撃いかばかりであったかと思います。2019/09/08

みっつん

1
社会的連帯の存在の根拠を分業に求めるため、社会的な連帯の外在的な事実として「法」の変遷を例にとりながら説明を試みている点は、面白かった。「分業」自体よりも、周辺の「抑止的制裁や復元的制裁」や「快と幸福」や「都市と田舎」の比較は、学ぶところが多くあった。2025/05/05

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