内容説明
火山国ファストゥの王と山猫獣人である母との間に生まれた王女、エルヴィール。
生まれた当時王女がいなかったため、非嫡出子ながら特例として王女の地位にあったエルヴィール――ルヴィは、ファストゥと緊張関係にある隣国ツークフォーゲルの国王、アルノルト二世に嫁ぐことになる。
しかしルヴィには悩みがあった。
ルヴィの数日後に生まれたために王女になれなかった母親違いの妹、ルビー。
数日の差を恨み、ずっと嫌がらせをしてきた彼女が、ルヴィの侍女として随行するらしいのだ。
いざ輿入れの旅の中、ルヴィの乗った馬車が襲われ、刃物で刺されてしまう。
なんとか助かったものの、声が出せなくなっている上に、ルビーが王女ということになっていた!
だけど、アルノルト二世の筆頭補佐官であるアレクシスの屋敷で過ごす日々は穏やかで――!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
37
王と山猫獣人である母との間に生まれた王女エルヴィール。緊張関係にある隣国の国王に嫁ぐことになった彼女が、その道中で腹違いの妹と立場を奪われてしまうファンタジー。ルヴィを恨んでずっと嫌がらせをしてきた妹の奸計。馬車が襲われて刃物で刺され、呪いで声が出せなくなってしまった彼女を保護した王の筆頭補佐官アレクシス。状況に戸惑いながらも彼の庇護下で暮らす離宮の日々はとても穏やかで、数奇な運命ゆえの葛藤もあって、それすら妬む妹も一筋縄ではいかない存在でしたけど、それを乗り越えて自らの居場所を得る結末は良かったですね。2023/02/06
わたー
21
★★★★★獣人であることを理由に王女でありながら虐げられてきた主人公。政略結婚の駒として隣国の若き国王に嫁がされることになった彼女であったが、無理やり同行した腹違いの妹に、名前も立場も声すら奪われてしまうことから始まる物語。初手から不憫すぎる境遇に胸が締め付けられるようだったが、筆頭補佐官アレクシスに匿われた離宮で、人間らしい暖かな居場所を得ることができて胸をなでおろした。そんな環境で彼に恋心を抱かないわけもなく、元々、国王に嫁ぐ予定だったこともあって、調理を一歩間違えれば悲恋まっしぐらな状況を、2022/12/12
はなりん
16
虐げられた獣人王女が隣国の王に嫁ぐ事になり、虐げていた異母妹が侍女として付いてくることになり、王道どおり道中で入れ替わりを強要され、声も奪われる事に。隣国で公爵に保護され、徐々に公爵と心を通わすようになる。ルヴィが段々前向きになり、公爵が実は元々嫁ぐ予定の国王だった事でめでたしめでたしの結末でした。悪の成敗のされ方が少し後味が悪い感じですが、モフモフ達が可愛いかったので、よかったかな。2023/04/15
しましまこ
12
不憫な獣人王女さまを全力応援、もふもふ幻獣も可愛く楽しかった。2022/12/27
サキイカスルメ
12
ファストゥ国唯一の王女だが獣人であることから虐げられて育ったエルヴィールことルヴィ。彼女が隣国ツークフォーゲルの国王アルノルト二世の元へ嫁ぐ最中、侍女で母親違いの妹ルビーの企みで、王女と侍女の立場を入れ替えられてしまうファンタジー。強く優しい騎士の女性、美味しいご飯、可愛い幻獣と作者さんらしさも詰まった内容で大満足です。ルヴィに懐く幻獣たち、とても可愛かった。過保護なアレクシスと、健気可愛いルヴィの組み合わせもよかったです。イラストが、1枚1枚にストーリーが見える素敵なものばかりで素晴らしかったです。2022/12/12