内容説明
往復書簡で描く、ある家族の物語。実話を元に描く感動作。昭和ひとケタ生まれの妙子と、高校生の孫の理沙。ある年の春、二人は新しい生活を始めることになった。妙子は長年住み慣れた稲毛の家を手放し、高齢者施設で暮らすことを決断。一方の理沙は、高校入学と同時に親元を離れて学生寮での生活をスタートさせた。そんな新生活を励まし合うために妙子の提案で始めたのが「文通」だった。手紙のやり取りを通じて明かされる家族の歴史、戦争の過酷さ、そしてもう二度と戻らない懐かしい日々……。世代が全く異なる二人がお互いを思い、気づかい合う姿は多くの人の実体験とも重なるでしょう。中高生から年配の方まで、家族三世代で楽しめる心温まる一冊です。2021「第45回 千葉県課題図書(中学生向け)」、公益社団法人読書推進運動協議会「2020 若い人に贈る読書のすすめ」24点に選出。全国の図書館司書からも大反響を得た作品です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミーコ
14
私には祖父も祖母もいなかったけど、高校生で寮生活を始めた理沙と老人ホームに入ったお婆ちゃん妙子の手紙のやり取り、往復書簡がとても暖かくて素敵でした。また妙子さんは頭が良く柔軟性があり、理想のお婆ちゃんでした。最後は何となく、こうなるだろうな。。な結末でしたが、読んで良かったと思う一冊でした。2025/02/13
ほう
4
親たちを見送り、夫を見送り、子供達を育て上げた祖母の妙子と、その孫の高校生になった理沙との往復書簡の話し。戦争をくぐり抜け、大所帯を切り盛りしてきた妙子は、愛情溢れる人で、またその周りの人達もそうだったのだろう。懐深く清々しい人柄が、手紙の端々に表れている。そして理沙もまた、明るく溌剌とした少女である事がよくわかる。「キャンパスの木の緑が日毎に濃くなっていくよ。木によって色が違うよ」と書く手紙の感性を、妙子がちゃんと受け止める所が微笑ましい。2020/03/07
matsu2015
2
昭和一桁生まれのおばあちゃんは、嫁いだ瞬間に大家族の面倒を一手に担った。おばあちゃんにとっての両親、義両親が死ぬまでの世話。今みたいに人生を好き勝手に、なんてできない時代の中、生き抜いた人と高校一年生になる孫との交流。自分の祖母も同じような境遇で、一生懸命周りに尽くして尽くして今は、梅干しみたいにしわしわになっている。妙子が神様みたいだのくだりは、本当に祖母ってそういう存在だよなと思えた。自分は大のおばあちゃん子だからなおさら。最後の部分は、読み始めてすぐに想像ができていたけれど、うるっとしてしまった。2020/02/11
birdie-birdie
0
孫とおばあちゃんとの手紙のやりとりです。なんということもない日常の一言に深く考えたり、孫の優しさに心打たれたり、ありふれた日常ですが、大切な日々だと考えさせられました。2024/09/22
くま美
0
おばあちゃんと孫の心温まる手紙のやり取り。ラインでやりとりが出来るところを手紙というのが温かい。2022/04/13