内容説明
『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士』(文春文庫)で話題をさらった丸山正樹氏、初めての児童書。「デフ・ヴォイス」シリーズとして、その後『慟哭は聴こえない』(東京創元社)など続篇を刊行中。本作は、そのスピンオフ版として書かれたもので、コーダ(ろう者の両親の家庭で育った聴者の子ども)である主人公の手話通訳士の再婚相手の子ども美和と、シリーズ2作目に登場する友だち英知の学校を舞台に繰り広げられる。「水まきジイサン」「図書館で消えたしおり」「猫事件」「耳の聞こえないおばあさん」などのストーリーが、ミステリーの要素も加わり、少しずつリンクしていく。美和は義父から習った手話が使える。発達障害や場面かん黙症という特性をもつ英知も、人前で話すことができないが手話を習得していて、二人の会話は手話である。オリジナリティあふれる物語。謎は解けるのか! 巻末に手話の説明付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
273
デフ·ヴォイスシリーズのスピンオフ。小学4年生の美和ちゃん(主人公の手話通訳士アラチャンの再婚相手の娘さん)と場面かん黙症の英知くんが大活躍。ゲロ吐き猫さんと、図書館本の栞探しなどの事件解決に叡智を結集します。児童書にはなってますけど、その美しく和やかな世界に、大人もしっかり感動できる良書です。2022/10/02
いつでも母さん
176
この装画のイメージで皆さんはもうお分かりですね。そうです。『デフ・ヴォイス』シリーズのスピンオフ作品。美和ちゃんと英知君が主役で児童書の扱いのようですが、なんの!大人が読んでも面白く、何故か「ホームに帰った」気持になってしまう。子供たちは成長する。この二人だけじゃない「みんなみんな優しい大人になってね。」って願ってしまう私だった。2022/08/02
mint☆
126
デフ·ヴォイスシリーズのスピンオフ作品。日常生活で起きた事件を小学4年生の美和ちゃん目線で友だちの英知くんと一緒に解決していきます。児童書だけど大人が読んでも面白い。巻末にイラスト付きの手話が載っていてわかりやすく、家族で一緒にやってみました。2022/12/08
おしゃべりメガネ
122
手話通訳士が主人公の作品で話題となり、読メでもお馴染み『デフ・ヴォイス』シリーズからのスピンオフ作品で、作者さん初の児童書となります。主人公となるのは、本シリーズの主人公「荒井」の義娘となった「美和」と場面緘黙症を患う「英知」の二人です。二人は小学四年生で、人前で話すコトが難しい「英知」は何故か手話でなら話せるので、「美和」との会話も手話で行います。そんな二人が日常で遭遇する、ちょっと不思議な出来事を解明していきます。「美和」と「英知」のまっすぐで、ピュアな様子にひきこまれ、児童書とは思えない作品です。2023/09/19
けんとまん1007
114
少しのこころくばり。少しの勇気。大きな違いになることも多い。遠い記憶、忘れられないこっと、忘れたくないこと・・人は、そんなことをたくさん持っている。自分だけではないということに、どれだけ気づけるか。2022/09/27