内容説明
『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士』(文春文庫)で話題をさらった丸山正樹氏、初めての児童書。「デフ・ヴォイス」シリーズとして、その後『慟哭は聴こえない』(東京創元社)など続篇を刊行中。本作は、そのスピンオフ版として書かれたもので、コーダ(ろう者の両親の家庭で育った聴者の子ども)である主人公の手話通訳士の再婚相手の子ども美和と、シリーズ2作目に登場する友だち英知の学校を舞台に繰り広げられる。「水まきジイサン」「図書館で消えたしおり」「猫事件」「耳の聞こえないおばあさん」などのストーリーが、ミステリーの要素も加わり、少しずつリンクしていく。美和は義父から習った手話が使える。発達障害や場面かん黙症という特性をもつ英知も、人前で話すことができないが手話を習得していて、二人の会話は手話である。オリジナリティあふれる物語。謎は解けるのか! 巻末に手話の説明付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
276
デフ·ヴォイスシリーズのスピンオフ。小学4年生の美和ちゃん(主人公の手話通訳士アラチャンの再婚相手の娘さん)と場面かん黙症の英知くんが大活躍。ゲロ吐き猫さんと、図書館本の栞探しなどの事件解決に叡智を結集します。児童書にはなってますけど、その美しく和やかな世界に、大人もしっかり感動できる良書です。2022/10/02
いつでも母さん
177
この装画のイメージで皆さんはもうお分かりですね。そうです。『デフ・ヴォイス』シリーズのスピンオフ作品。美和ちゃんと英知君が主役で児童書の扱いのようですが、なんの!大人が読んでも面白く、何故か「ホームに帰った」気持になってしまう。子供たちは成長する。この二人だけじゃない「みんなみんな優しい大人になってね。」って願ってしまう私だった。2022/08/02
昼寝ねこ
164
『デフ・ヴォイス』シリーズの児童書。小学生の美和の視点で進み、新井家の家族や英知くんが出てくる。美和の周囲で起きる小さな謎を英知くんが解明していく。聾者の問題も扱うが児童書なのであまりハードな描写にはならない。物語は面白いのだがデフ・ヴォイスの世界を無理に児童書化した部分も感じた。私はデフ・ヴォイスシリーズを読んでいるから面白かったが、初めてこの本を読む小学生が聾者の世界観を把みきれるだろうか?児童書は独立した立派な文学なのだから児童向けの翻案ではなく、一から児童書としての物語を紡いでほしいと思った。2024/06/08
けんとまん1007
131
少しのこころくばり。少しの勇気。大きな違いになることも多い。遠い記憶、忘れられないこっと、忘れたくないこと・・人は、そんなことをたくさん持っている。自分だけではないということに、どれだけ気づけるか。2022/09/27
mint☆
128
デフ·ヴォイスシリーズのスピンオフ作品。日常生活で起きた事件を小学4年生の美和ちゃん目線で友だちの英知くんと一緒に解決していきます。児童書だけど大人が読んでも面白い。巻末にイラスト付きの手話が載っていてわかりやすく、家族で一緒にやってみました。2022/12/08