内容説明
日本はなぜ没落したのか。敗戦後の日本が再生を目指したところから説き起こし、プラザ合意以降の日米同盟のありように、日本没落の原因を見て、日本の政治・経済・官界における「戦略の不在」と「戦略的思考」の欠落をえぐり出す。中国による一帯一路構想の展開が、クワッド(米日豪印)戦略とせめぎ合う現実に対し、日本はどう立ち向かうべきか。リベラル派国際政治学者が新たな「同盟と戦略力の流儀」のあり方を検討し、ポストコロナ、ウクライナ戦争以後の世界で日本が生き残る戦略を明らかにする。
目次
はじめに/I 戦略力の前提/第一章 ある経済人の生き方──戦略力をどうつくるのか/1 「海賊とよばれた男」の生き方/2 出光が目指したもの/3 アジア的価値の復権へ/4 同盟とは何か/第二章 コロナ禍に生きるということ/1 歴史の中で考える/2 新しいグローバル・ガバナンスを求めて/3 共生の世紀へ/II 戦略力の模索/第三章 ウクライナ戦争とは何であったのか/1 大転換期の世界へ/2 「冷戦の敗者」ロシアの〝復讐〟戦争/3 「危機の三〇年」の後に/4 「パクス・アメリカーナ」の残光/第四章 大転換する世界──「パクス・アシアーナの世紀」へ/1 帝国以後/2 ネットワーク型地域連携へ/3 同盟と戦略の陥穽/III 戦略力の不在/第五章 日本の落日──再生を戦略する/1 年老いた金メダリスト/2 日本衰退の現実/3 衰退の原因を求めて/4 日本産業優位論の落とし穴/5 プロダクション・ゲームを超えて/第六章 「貿易立国」論の罠──戦略力とは何であるのか/1 日米〝戦略思考〟の差/2 「空気」と異端と/3 日中文化の違い/4 戦略力の欠落──「貿易立国」論を超えて/IV 戦略力の検証/第七章 「パクス・トクガワーナ」の虚妄──構造的暴力を超えて/1 琉球独立の夢の跡/2 構造的暴力、人間安全保障、そして「戦争のできる国」/3 デモクラシー「第三の波」以後/第八章 そろそろリベラルは〈戦略力〉を語ろう──永遠平和の条件を求めて/1 二つの新世紀勃興期/2 「そろそろリベラルは〈外交〉を語ろう」/3 国家間連携から市民的体制へ/4 「デモクラシー」論の陥穽/5 テリトリー・ゲームを超えて/V 戦略力の構想/第九章 脱亜入欧から連亜連欧へ──「一帯一路」をどう拓くのか/1 グローバル化の第三の波/2 展開する現実とマーシャル・プラン/3 帝国の終焉へ──新たなガバナンスを求めて/4 地経学を超えて──日本の戦略へ/5 連欧連亜の世界へ/終章 アジア戦略共同体への道──中国・北朝鮮〝脅威〟論を超えて/1 「ツキジデスの罠」という言説/2 中国・北朝鮮脅威論とは何であるのか/3 グローバル(全球)化の海の中で/あとがき/謝辞
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海冨長秀