内容説明
全ては「死者の日記」から始まった。これは“怪異”か、或いは“事件”か。
選考委員、激賞!令和初の大賞受賞作!
「恐怖と謎がしっかりと絡んでいる。ミステリ&ホラー大賞にふさわしい」――有栖川有栖氏
「謎への引きこみ方が見事。読了後は心地よい酩酊感に襲われました」――辻村深月氏
信州で暮らす久喜雄司に起きた二つの出来事。ひとつは久喜家代々の墓石が、何者かによって破壊されたこと。もうひとつは、死者の日記が届いたことだった。久喜家に届けられた日記は、太平洋戦争末期に戦死した雄司の大伯父・久喜貞市の遺品で、そこには異様なほどの生への執着が記されていた。そして日記が届いた日を境に、久喜家の周辺では不可解な出来事が起こり始める。貞市と共に従軍し戦後復員した藤村の家の消失、日記を発見した新聞記者の狂乱、雄司の祖父・保の失踪。さらに日記には、誰も書いた覚えのない文章が出現していた。「ヒクイドリヲクウ ビミナリ」雄司は妻の夕里子とともに超常現象に造詣のある北斗総一郎に頼ることにするが……。 ミステリ&ホラーが見事に融合した新鋭、衝撃のデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロ
95
恐さが徐々に大きくなって最後にとんでもない事が…という展開で読む手が止まらないといった感じでした。日記と火喰鳥でこんなにも恐ろしい話が作れるのがホントに凄いと思いますし、色々な伏線が回収される展開もまた面白かったです。これは人間の執念がとんでもない出来事を引き起こすといった感じでその執念の深さというか、そういった人間らしさみたいなものが大きく関わっていて、それをこれでもかというくらい感じさせられた作品でした。2025/05/06
りゅう☆
70
久喜家の墓石から雄司の戦死した大伯父貞市の名が何者かによって削られた時、貞市が生前綴ってた日記が見つかった。それを読んだ日から雄司の周りで怪異が起こり始めた。貞市最期の日、日付だけ書かれたページに雄司の義弟亮が無意識に書いた「ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」。その日記は貞市の生への執念が籠っていた。祖父の失踪、生きて帰還した仲間宅が火事、日記を一緒に読んだカメラマンが急変、そしてまた一人…。貞市が蘇った?怪奇現象に詳しい北斗が加わるも、彼は雄司の妻夕里子に好意を抱いている。そして雄司のいる現実と食い違う→2025/07/19
HANA
70
読友さんお勧めの一冊。戦死した大叔父の日記帳。それが発見された時より起こった事は…。こういう現実を非日常が侵食されていくタイプの作品は超好み。削られた墓石、次々に怪死を遂げる関係者、日記帳の内容に胡乱な探偵と怪異を楽しめるギミックは大量にあり、しかもそれが単なる怪異で終わるのではなくミステリとしての真相へのキーワードとなる二度美味しい作りになっているし。結末も一見はアレなのだが、主人公が本当はアレだったとする裏返しの可能性に思い至った時は愕然としました。上質の幻想ミステリ、良い本を紹介してもらえました。2025/04/30
オーウェン
67
横溝正史のミステリー&ホラー大賞の作品だけど、巻末にある通り怖いと思える場面がない。 一応ホラーだろうなと思える描写はあるが、表面的なだけで心底という恐怖は感じなかった。 物語の入りは悪くなく、戦争によって死んだ死者の日記が見つかり、その死者の墓が荒らされ、徐々に登場人物たちの周りが侵食されていくという展開。 表紙の火喰い鳥はインパクトあるが、章ごとの終わりが脅かすだけで、次に繋がらないのは意味があるのかどうか不明瞭。 ラストは悪くないだけに、後の作品に期待といったところ。2023/12/20
こら
66
太平洋戦争当時ニューギニアで戦死した大伯父の名が墓石から削り取られ、時を隔てず彼の従軍日記が発見されたとの報が・・・この手の導入が好みで手に取ってみたが大正解。怨念譚かと思いきや、現実そのものがじわりじわりと侵食改変されていく恐怖。また誰が墓碑銘を削ったかというフーダニットとしても楽しめ、明ら様に怪しい人物が登場するが一捻り加えてある所は流石。読了すると、並行する世界線同士の存亡を賭けた戦いというSF的見方も出来る。それならば、火喰鳥とは世界を喰らい尽くす存在なのだろうか?兎にも角にも面白い。2025/03/04
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