内容説明
――霧の向こうに浮かぶ、英国のもうひとつの貌――
●人間はいつでも得体の知れないものを抱え込んでいる
この本を「スピリチュアリズム」の入門書として読んで下さってもいいし、これらのエッセイが最初に連載された『心霊研究』の発行元である日本心霊科学協会では、そういうふうに見ているようである。
あるいは、この本を、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて、産業革命の機械と石炭の歴史の背後に脱落した部分を補う数ページとして読んで下さってもいい。人間はいつでも得体の知れないものを抱え込んで、それを無視したり、軽蔑したりしながら、その力にひきずり廻されているという姿が浮んでくるかもしれない。
また、この本を、ちょっと変った現代英国の旅行記として読むことも出来るだろう。(「文庫の前書き」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めぐ
11
日本の心霊研究者が、英国のオカルティズム、スピリチュアリズムに傾倒する人々や団体、曰く付きの物件、古城、と節操無く訪ね回る一風変わった紀行文。タイトルから想像する程には派手な心霊現象など起きはしないが、奇人変人に傾いたイギリス人達との交流記録と思えばなかなかに読み応えのあるエッセイだ。心霊治療が保険適応になる話など、流石はホーンテッドイングランド、本場の違いを見せ付けて来る。現地の子ども達の話などは育児中に読むと楽しく、興味深くもあった。文庫化は最近だが、40年も前に書かれたものであるらしい。2023/06/22
Junko
10
前書きの「あなたの今居るところが霊界ですよ」の言葉に何故かホッとした。 私が高校生の時、兄が病気で亡くなり、月参りの時のお経が、 『修行本来仏なり 水と氷の如くにて 水を離れて氷なく 衆生の外に仏なし 衆生近きを知らずして 遠く求むるはかなさよ 譬えば水の中に居て 渇を叫ぶが如くなり』 このお経に救われたことを思い出した。 スピリチュアルはイギリス人と日本人の宗教的な違いと、物事の捉え方の精神的な違いによる思った思った。子育てを終えた母親として、イギリスの子育ての違いも興味深く読んだ。 2023/02/06
seri
2
英国の幽霊話を集めたような本かなと思って読んでみたら、違っていた。幽霊とか心霊現象とかは物語だと面白いけど、現実の話だと言われるとつい眉唾だと思ってしまう。とはいえ、英国の人の幽霊や心霊への向き合い方、考え方の日本人との違いなど興味深かった。ゴーストツアーのガイドさんの言う幽霊はイメージが磁場のように作用して多くの人に共通の錯覚を見せるというようなのが、自分の感覚に違いかなと思った。2023/03/20
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