内容説明
東京は浅草に建つ、小さくも美しい日和神社には、ある伝説が残っている。
はるか昔。人間に助けられた猫が恩返しをするために、町が洪水に襲われるのを住民に知らせた、という。
時は現代。隣接する春日野病院に通院する人々が、日和神社を訪れる。乳房を切除することになる女性、うつ病になった高校生、父親が脳梗塞に倒れた役者志望の若者……。
心に悩みを抱えた彼らは、神社と猫がとりもつ不思議な縁によって、心の傷を癒やし、幸せを見つけていく――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
49
現代の話であるからか登場人物以外の路傍の人たちの傍若無人さがひしひしと伝わり、各編の主人公の苦しみや足掻きが5話とも涙を誘う。自分が・家族の者がいつまでも傍にいてくるとは限らない。当たり前が当たり前で無くなった時の対処の処方箋の本かしら😅。前回「酔っぱらい盗賊、奴隷の少女を買う」なんて本を読んだ後だったからズシっと重く感じたけれど、年配者受けする内容でした(#^.^#)。2024/03/08
よっしー
24
タイトルが気になって手に取りました。人って…誰しもが何かしらの傷を抱えて生きており、それを誰かに癒してもらう事も必要なのだと思うお話でした。でも、最終的には自分自身で前を向かないといけないのですよね。宮司さんの子どもである拓の存在がどう話に絡んでくるのかと思いながら読み進め、そう来たかという感じでした。2人なら持たなかったかもしれない間を上手に取り持ってくれたように感じます。さて、頑張ろう。そう思わせてくれる1冊でした。2023/08/25
彩灯尋
17
生きていれば色々起こってしまうことだってあるよな…と、重い背景を持つ登場人物たちのことを考え込んでしまう。自分で前を向けなくなりそうなら、他の人の力も借りつつ前を向いていければいいな…とは思うけど。人生って難しい。2023/10/18
飴ちゃん。
15
率直にとても感動しました。 人間同士のつながりの美しさがギュッと詰まっていて、優しく暖かな読後感でした。 幸福とは何か、なぜ人は生きるのか、全て繋がる5篇の物語が考えを深めさせてくれました。2024/01/15
碧海いお
9
創作にしたら、登場人物が重すぎるのでは?人生とは何か?と思った作品でした。 役者をはじめとする、夢を追う方も30歳を過ぎると次第に諦めるという選択をする方もいますからね。 読み手が働き始めて10年以上経過をする方の方が登場人物の言葉にしっくりくるかもしれない。2022/12/03
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