集団的自衛権で日本は守られる - なぜ「合憲」なのか

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集団的自衛権で日本は守られる - なぜ「合憲」なのか

  • 著者名:篠田英朗
  • 価格 ¥1,500(本体¥1,364)
  • PHP研究所(2022/11発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569853413

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内容説明

「集団的自衛権をもたない国は侵攻される」。ウクライナをはじめ、世界がロシアの暴虐から得た教訓である。ところが、日本には「集団的自衛権は憲法違反」という珍奇な説を訴える人々がいる。アメリカを憎み、日米同盟を壊そうとする憲法学者が、あろうことか国連憲章にある国際法上の「自衛権」がおかしな概念であり、日本国憲法こそが正しい、という倒錯した議論を展開しているのだ。国際社会の合意、平和維持のルールを突き崩そうとする危険な主張にほかならない。著者は近年の空気に危機感を抱き、本書で「集団的自衛権の考え方は国連憲章以前から存在する」ことを明らかにする。たとえばアメリカ合衆国が19世紀に掲げた「モンロー・ドクトリン」(「孤立主義」の表現は誤り。本書参照)や、自由主義陣営の優越性を守る「トルーマン・ドクトリン」、ウッドロー・ウィルソン大統領が語った「いかなる国も自国の政策を他国民の上に及ぼそうとしてはならず、すべての人民が妨害されることなく、脅かされず、恐れることなく、弱小国も強大国も等しく、自らの政策と発展の道を決定するのに自由でなければならない」というビジョンである。しかしウィルソンの構想は現在、「勢力圏」を唱えるロシアや膨張主義を正当化する中国によって悪用されてしまっている。ウクライナに続く侵略の犠牲者がいつ、どの国から出ても不思議ではない状況だ。今こそ、日本を守る集団的自衛権の意味を正しく伝えることを試みたい。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばたやん@かみがた

90
《わかりやすい文章が伝えるこの国の根本的病源》(1)平明でわかりやすく頭に入ってきやすい文章です。しかし、伝えるメッセージは我が国の根幹を直撃しており大変重い。篠田先生はこれまで『ほんとうの憲法』や『憲法学の病』などの著書で、東大法学部から輩出され日本の憲法学を文字通り采配する憲法学者たちが現憲法に対する国際法からの影響を無視する異常な傾向を指摘、批判してきました。本書では、それによる露ウ戦争での日本での早期停戦or降伏論者への影響を読み解くと共に、ウクライナが戦前切望しながらも(1/8) 2023/02/25

Kelevra Slevin

3
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて集団的自衛権≒軍事同盟の重要さが見直されている。本書によれば、集団的自衛権という概念はヨーロッパ帝国主義に対抗する形でアメリカで生み出された。ヨーロッパからの反感や国際連盟の挫折など紆余曲折を経て、国連憲章第51条で個別及び集団的自衛権が明記され、それの代名詞となるような強大な軍事同盟NATO結成がなされた。一方で、日本国内では国連憲章で権利として認められている集団的自衛権が過剰に忌避される風潮がなぜあるのかを歴史的経緯を解きほぐしながら解説されていて勉強になった、2023/02/25

Kolon

2
本書を読むと日本国民の多くは日本憲法に関して東大法学部を頂点とする憲法学者らが主張する明らかなファンタジーを長年に渡って刷り込まれているため客観的認識を持てないと判る。 そうした呪縛から解放されるためにはかなりのエネルギーが必要だが、著者のような論に触れ続けて改革してゆくしかないだろう。2023/04/06

バルジ

2
好著。相変わらずの「憲法学者」批判には鼻白むが、アメリカの「立憲主義」に立脚したモンロードクトリンから日本国憲法の国際主義的側面を描写する流れは見事という他ない。「世界史の中での日本国憲法」という視座に立てば「個別」たろうが「集団」であろうがそれは制約されたものでもなく、勿論後者が戦争を引き寄せるものでもない。戦前日本が振り回した「自衛戦争」「交戦権」を否定する日本国憲法は決して違法行為である「戦争」からの自衛権を否定しない。日本という「空間」を超えた日本国憲法分析は刺激的かつ論争的で面白い。2023/03/26

Shigenori

2
『憲法問題は、現代日本を覆っている閉塞感の一つの大きな原因だ。その背景に、政治イデオロギー的に偏向した憲法解釈を広めている憲法学の問題がある。偏向した政治的な憲法解釈が、大学教員人事、公務員試験、司法試験を通じて、日本社会に確立してしまっている。憲法学通説に異を唱えると、日本社会では主流になれない、という感覚が作り出されてしまっていることが、日本社会の閉塞感につながっている。(中略)その歪な憲法学通説の憲法解釈の代表が、集団的自衛権に対する偏見である。』憲法9条、集団的自衛権をめぐる議論をまとめた良書。2022/12/21

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