内容説明
そっちには行くな。
二度と戻れなくなるぞ。
過去のトラウマに囚われ、殻にとじ籠もっていた大学生・直希。
直希の目がとらえる世界は不思議にあふれ、彼を悩ませてきた。
彼の目の秘密を知る若き大学教授・氷住(ひずみ)灯子のもとで、不思議な事象を解き明かしていく。
はたしてY研究所とは? 氷住教授とは?
――珠玉の短編連作集。
茂鳥直希は大学に受かり、田舎から上京した。直希は幼い頃から不思議なものが見え、そのために周囲から孤立し、傷つき、人とどのように接して良いかもわからなかった。直希はこの大学進学を機に、友人をつくれるようになりたいと考えていた。直希が大学近くでバイト先を探していたところ、偶然「Y研究室 雑用係募集」という学内のバイト先を見つける。超常現象を研究しているという大学非公認の《Y研究室》。離れ校舎地下にあるY研究室はチグハグなインテリアに、洗い物が溜まったシンク。研究室の主、大学教授で傍若無人な振る舞いをみせる氷住灯子は、そのまま直希を採用する。研究室には、どうにも相談できない悩み(霊や超常現象)を持つ人が直希を通じてふらりと相談にやってくる。直希の目には、それらの悩みには必ずといっていいほど、黒い靄のようなものが見えていた。過去に死にかけたことがある直希。そして直希の目の秘密を知る氷住教授とは一体――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
75
不思議なものが視えるゆえ、幼い頃より孤立していた直希。大学進学後、雑然としたY研究室で雑用アルバイトをすることになる。超常研究の一環として、傍若無人な氷住教授と共に不可思議な悩みの相談を受けることになるが…。「古書店の女神」が切なくも温かい話で良かった。サイケな色合いの表紙が目を引く歪みの世界。続編があれば読んでみたい。2022/09/07
rosetta
23
★★☆☆☆この表紙とこの内容ならどう見てもラノベなのになぜハードカバーでこの値段で出したのかさっぱり理解できん。幼くして両親を亡くした主人公は人に見えないものが見えるせいで人から疎まれる。法政大学に進学し東京に出てきて別館の地下にある研究室でアルバイトを始める。どうやらオカルトを扱っている研究室らしいがそれっぽい事はろくに書かれていないので設定が生かされていない。氷住(あ、歪みの洒落なのか、今気付いた)のキャラも全く魅力がない。はっきりいって時間の無駄以外の何物でもない。←個人の感想です2022/09/08
よっち
22
過去のトラウマに囚われ、世の中の不思議なものが見えてしまうため殻にとじ籠もっていた大学生・直希。彼の目の秘密を知る若き大学教授・氷住灯子のもとで不思議な事象を解き明かしていく連作短編集。大学に合格して田舎から上京した直希が始めた超常現象を研究する大学非公認のY研究室でのバイト。研究室の主で傍若無人な振る舞いをみせる大学教授の氷住灯子に振り回されながら、研究室に持ち込まれる顔を奪われた女、虚偽の幽霊、古書店の女神といった問題を解決する展開で、孤独だった彼がその居場所を見出してゆく結末はなかなか良かったです。2022/07/26
ほたる
10
歪んだ世界へようこそ。オカルト連作集。不思議な霊的現象は身の回りに常にあるもので、ただその現象が起こるきっかけはオカルトでもきちんと存在している。三話目がどことなくノスタルジックな雰囲気が感じられて個人的にはこれが一番良かった。エンタメホラーで楽しい作品。2022/07/03
ニョンブーチョッパー
7
★★★★★ 表紙イラストがポップで、表紙や章タイトルの文字やノンブルの位置もなかなか攻めている感じで好印象。文字が小さすぎず読みやすい。内容はライトでサラッと読める。続きがありそうな終わり方で、シリーズ化されたら続きを読んでみたい。2022/11/15