内容説明
「オーバースペック」は、航空自衛隊の中等練習機“MT-4”の武装化改修に挑む防衛省と民間企業の航空技術者たちの物語です。MT-4のモデルは、航空自衛隊の展示飛行チーム「ブルーインパルス」で使用している川崎T-4練習機。音速飛行が可能な機体形状、優れた機動力、機上酸素発生装置の搭載など、1980年代開発の練習機としては十分すぎる性能と装備を備えている。元・航空技術者である著者は「なぜT-4はこれほど過剰な性能を持っているのか?」「なぜ日本はその優秀なT-4をさらに磨き上げて使わないのか?」という疑問を抱き、本作を書き上げました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
16
メーカーの技術者で戦闘機F2の開発にもかかわった著者による日本の航空機開発の問題点を表した一冊。防衛省の技術開発本部が民間メーカーに頼り切っていて何とも情けない事。こんな低落で国防は大丈夫なのかと心配になってきた。最新式の戦闘機を購入するのも良いが、性能だけでなく数量も大切なんだと言う考えには賛成。そして防衛省OBの恫喝に屈する現役の本部長も情けない。ストーリーはちょっと非現実的だが、日本における航空機開発の一端を垣間見せてもらった気がする。2023/11/08
キョウ
5
国防について、組織について考えさせられる内容でした。 私には想像でしかないですが、仕事の出来る方々の組織はなんと気持ちの良いものだろうと思いました。 会社、部署が違っても一つの事に共に向かって行く感じは理想的でした。 あとは、世の中こんなものなのかな?とも思いました。2023/01/09
jolly
2
戦闘機好きのためのお仕事小説。亡霊のくだりだけはいただけない…2023/02/19
ぬる燗
2
未須本有生は初読。 航空機の製造についても記載が凄く詳しくアマチュアの域を超えていてリアル、と思ったらその道の元技術者。自衛隊,、航空機メーカーの技術者たちの誇りをかけた取り組みと邪魔する老害。そして、古臭い職場で壁を破る女性技術者達。 実に面白い。他の航空機小説も読まねば。2023/02/12
無添
2
ブルーインパルスの使用機としても知られるジェット練習機T-4。これを「MT-4」という名で取り上げ、その武装化改修をめぐって防衛省と航空機メーカーの人々が繰り広げる。2023/01/13