内容説明
「二キ三スケ」(東条英機、星野直樹、松岡洋右、岸信介、鮎川義介)だけで満洲は語れない。「一ヒコ一サク」(甘粕正彦、河本大作)が隠然たる影響力を行使する、
再チャレンジ、前歴ロンダリングも許される自由の天地。「五族協和」の理想を信じた人たちの生と死。
既存の満州国のイメージをくつがえす、満州へ渡った日本人の奇妙にして、真剣なる「昭和史」物語。
装幀画は安彦良和氏が担当した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
33
満州に関わった日本人を、グランド・ホテル形式(ひとつの場所を舞台に、そこに集う複数の人物を描く)に取り上げ満州問題を振り返る。筆者は、事変から建国までとソ連参戦以降を避け、13年の満州史の真ん中に焦点をあて往時の空気や当時の関心を知ることに重点を置くとしている。確かに石原莞爾氏らによる独立育成方針から、彼らが去り小磯国昭氏らによる属国・植民地路線への変質が生々しく読み取れるところが興味深い。そうい意味で石原氏らが易々と軍上層部の転勤命令を受け入れてサラリーマンのようにかの地を離れてしまった点は疑問が残る。2026/02/15
ばんだねいっぺい
30
大枚はたいて虹色のトロツキーを買ったのは遠い昔。大著だから忘れてしまうが、残ったのは「高粱飯」という食を通じて「五族共和」の解れが見えるのが面白い。小林秀雄の目を借りたくなったし、甘粕大尉は、妖しからんし。石原莞爾は、ぬらりひょんだ。2023/08/07
Masakazu Fujino
14
わずか13年半しか存在しなかった「満洲国」をめぐるさまざまな人々の姿や行動をグランドホテル形式で36回に分けて取り上げた本。「満洲国」は「二キ三スケ」(東條英機、星野直樹、松岡洋右、岸信介、鮎川義介)だけでは語れない。原節子、笠智衆、木暮実千代、小林秀雄、島木健作、石橋湛山、小澤さくら、内田康哉、林銑十郎、植田謙吉、駒井徳三、板垣征四郎、小磯国昭、田村敏雄、十河信二、矢内原忠雄などなどなど、多彩な人物たちと、直接登場しないが、隠然たる影響力を行使した「一ヒコ一サク」(甘粕正彦、河本大作)の描くラビリンス。2022/08/19
mooroom7
7
満州ものが好物の読徒は少なくない筈。私もその一人だが。超お薦め本だな。これは。読めども尽きず、噛めば噛むほど味がでる超大型スルメのような。一か月くらい寝食を共にしたよ。二キ三スケに甘粕、莞爾、征爾の親爺くらいしか知らなかったが、本書は、章立ての人物だけで36人、巻末の人名索引を見れば、ゆうに千名以上が登場する。雑誌の座談から、私家版の伝記まで渉猟された文献、資料はどれほどなのか。そして著者の脳内では、それら文献内の数千を超えるエピソード群が綿密にクロスリファレンスされているようで縦横無尽の引用にぶったまげ2026/05/08
冬薔薇
5
満州に関する膨大な資料、小説、評伝、自伝、民間人の記録、日記、寄稿、などをもとに多くの当事者たちの言動から「満州国」を描く。「人間というものも〜十善も十悪もない」「ねえ、われわれが満州でやってきたこと〜あれが侵略だったのかねえ」「それ故にそれ故にこそ、かつて軍や満鉄、「満洲国」や大新聞社の威を借りて、大陸で支配者としての栄耀栄華をきわめながら、戦敗れるや口をぬぐってたくみに身を処した人たちが許せない」。暇にまかせて巻末の人名を数えてみたら940数名、知ってる名前が二割強。混乱しつつもやっと読み終えた。2023/04/15
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