内容説明
第一次世界大戦時の北イタリア.父と兄たちが戦場へいったあと,13歳のイオランダと妹は,母親とも離ればなれになってしまう.戦争が激しくなるなか,家族の秘密を知った姉妹は,祖母を探す危険な旅を決意する…….もつれた家族の糸をほぐし,生きる力をつかみとっていく少女の感動の物語.ストレーガ賞児童書部門受賞作.
目次
物語の舞台
第1部 1914年オーストリアからマルティニャッコ村へ
第2部 1917年マルティニャッコ村からウーディネへ
第3部 1917年ウーディネからグラードへ
第4部 1917年から1918年マルティニャッコ村
謝辞
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
61
1914年のイタリア。13歳のイオランダは愛情溢れる家族と幸せに暮らしていた。だが戦争が始まると、父と兄は戦場に行き、母は逮捕されてしまう。幼い妹と残されたイオランダは、会ったこともない祖母の存在を知ることに……。平和な日常が戦争によって突然崩れていく恐怖。思春期の少女の目を通して描かれる戦争の物語だが、この物語の主題はあくまで家族の絆。お互い気まずい感情を持ったまま長年離れていた母と娘。ふたりの本当の想いは…。盲目の元産婆さん、アデーレおばさんが素敵に格好いい。2022/04/24
ネギっ子gen
42
第一次世界大戦時の北イタリア。父と兄たちが戦場へいったあと、13歳のイオランダと妹は、母親とも離ればなれになってしまう。戦争が激しくなる中、家族の秘密を知った姉妹は、祖母を探す危険な旅を決意する。もつれた家族の糸をほぐし、生きる力をつかみとっていく少女の感動の物語。ストレーガ賞児童書部門受賞作。そして、作中にある「13枚のピンぼけ写真の絵」は、原書にあったものと思ったら、画家の古山拓さんが描いたんですね。カバー絵なども含め、素晴らしいです。だからこそカバーに、訳者名の横に、「古山拓 絵」とあるのですね。⇒2022/06/25
アイシャ
35
児童書に分類されるようですが大人が読んでも面白かったです。オーストリアに出稼ぎに来ていたイオランダの家族は、第一次世界大戦が始まる直前全員が職を失い、故郷の北イタリアへ戻る。父、二人の兄は戦争に駆り出され、母親とも引き離された13歳の少女は妹と共につてを頼って戦乱の中を移動していく。ゆっくりと確実に人々を襲っていく戦争。仲良くしていたオーストリア人が自分たちを殺そうとしている。今まさに私たちが見ている戦争のよう。家族はまた一緒に暮せるのだろうか。13枚のピンぼけ写真はイオランダの足跡を映している。2022/06/15
しおり
29
第一次世界大戦下、北イタリアの少女が妹と共に強く生きる様子が描かれています。とても怖い思いをしながらも、頼れる盲目のアデーレおばさんのお陰で危機をくぐり抜けられ、存在すら知らなかった祖母と共に生きられたのは運が良いとしか言えません。現在の世界の状況とあまりにもリンクするので、なおのこと胸の痛む読書となりました。2022/04/30
おはなし会 芽ぶっく
13
舞台は100年ほど前のイタリア北部。第1次世界大戦へと戦火がひろがっていった時代です。イオランダという13歳の少女を中心に、出征した父と兄、共に逃げる母と妹の過ごした日々が語られます。文のなかに散りばめられた13枚の写真は、説明文が別に書かれてますが、写真とお話がリンクしていて情景が浮かんできます。2022/08/11