岩波科学ライブラリー<br> ことばと算数 その間違いにはワケがある

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岩波科学ライブラリー
ことばと算数 その間違いにはワケがある

  • 著者名:広瀬友紀
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 岩波書店(2022/11発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000297127

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内容説明

「かける数とかけられる数,どっちがどっち?」「マイナスのマイナスは…とってもマイナス?」──混乱するのは子どもだけとは限らない.ことばのしくみに原因があることも.『ちいさい言語学者の冒険』で子どもの言語習得の旅を案内した言語学者が,小学生の宿題やテストの間違いを通して,意外に深いことばと算数の関係にせまる.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

まえがき
第1章 カッコつけるのやめたら
カッコつけてくれ
迷子になったサッカー選手?
迷子はどっちか,私たちはどうやって決めているのか
数式と言語の似ているところ
数式と言語の階層構造は頭のなかで共通している?
かけ算より引き算を先にやる人たち?
計算順序は絶対か
分配法則と,嵐・結婚
言葉と算数の微妙な関係
第2章 どっちから見る?
そのくまどのくま?
記号としてのくま,実体としてのくま
正しい答えで悪いか
はくちょうは,とんで行くのか来るのか
「正しい答え」のダイクシス
で,くまはどのくま?
第3章 正三角形は二等辺三角形に
入るんですか問題正三角形は二等辺三角形にあらず
聞いたこともないのに共有しているルール
someと言ったらallではない
推論する子供たち
正三角形も二等辺三角形だってどうして最初から教えないの?
ニャンコだったらワンワンじゃないの
第4章 1+1 って言ってみて!
声に出して読む数式 かけるぞ! 4と2
カッコつけなくていいんだよ
日本語で読める数式
2つの目的語に交換法則は成り立つか
カッコ不要の代償
始まりがわからないのか終わりがわからないのか
分数の読み方
第5章 かける数とかけられる数は同じだった?
算数でもなく,日本語理解力でもなく,日本語自体の問題
かけ算の順序問題はおいといて
かける数であり,かけられる数でもある……そんなのアリ?
片方を尋ねる疑問文を作ってみるとあら大変
かけるシロップ,かけられるシロップ
略しても,好きな人
回避する工夫?
むしろ言葉に鋭い子ほどドツボにはまる?
第6章 マイナスを引くと……とってもマイナス?
マイナスの数を引いたら足し算になるっておかしいじゃん!
二重否定 肯定を強調? 否定を強調?
マイナスのマイナスはもっとマイナス,が自然だった?
再帰性 反対の反対なのだ
人間の証明としての再帰性と,その獲得
第7章 ジブンデ.ミツケル.
その間違いに理由はあるのか
少ない例からいかに学ぶか
過剰に一般化 ネコも車もワンワンみたいな
過剰に特殊化 ワンワンは隣のポチ限定
そして旅はつづく
あとがき
子供の算数間違いについてもっと知りたい方へ
参考文献
カバー・本文挿絵=いずもり・よう

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

なま

11
★4 つまずきエリートの息子さんの算数誤解答を著者が心理言語学者として分析。数式と言語構造や階層的な違いと共通点を明確にする。「嵐の櫻井と相葉の結婚」のニュースは『(b+c)a=(櫻井+相葉)結婚=櫻井結婚+相葉結婚』の意が「櫻井君と相葉君がつきあってた?!」と解釈がされたのは「結婚」が相互動詞だからとか、ポール・グライスの「会話の公理」等を使用して曖昧な表現や意図されている意味を解明していく。説明がくどく、断定出来ないのでは?という部分もあるが、会話に誤解や解釈の違いが生まれる背景を垣間見る事が出来る。2023/01/02

スイ

11
『ちいさい言語学者の冒険』の著者さんと息子さんが、今度は算数と言葉の冒険へ! 私自身も子どもの頃に算数で、何か納得いかない、違和感がある、ととにかくそういうものだと覚えてしまうのだと自分に言い聞かせてやり過ごしたことが満載で、頷きながら読んだ。 算数、言葉、二つを併せて、のどれもわかりやすくて面白い。 筆算のミスとそのユーモラスな分類名には笑ってしまったけど、ただ間違いだと突き返すだけじゃなく、なぜこう考えたのかを大人が真面目に検討することは、その子だけじゃなく大人にも意味のあること。2022/09/09

ぽけっとももんが

10
算数と言語には、結構な共通点がある。「迷子になった選手の愛犬」は、迷子になったのは選手か愛犬か。計算式で括弧をどこにつけるかで答えが違うのと同様。算数が苦手なご子息の間違いから研究が進むのだからすごいなぁ、わたし怒り散らかしてましたよ、反省。数学は苦手だけど算数のくりあがりやくりさがりはなんともなかったので(嫌いだけど理屈はわかる)、いろんな試行錯誤があり分類までされているほどだとは知らなかった。今なら宿題のドリルに付き合えるかなぁ、だめかもしれないなぁ。2022/12/25

joyjoy

9
子どもの間違い、そのワケが見えてくると面白い。自分も「くらべられる数」と「くらべる数」で、くらべる数のほうが大きいときに、どっちで割るんだっけ?と、今でも混乱することが。マイナスのマイナス、いざ説明しようとすると大変。子どもにこづかい帳のつけ方を教えたときもそうだった。「お金が戻ってきたときは~~費マイナス〇〇円って書くんだよ」で、書いたあとの差引に戸惑うんだけど、「戻ってきて〇〇円増えたんだよね」。計算ミスや不明金で苦労したこづかい帳も、マイナスのマイナスがプラスになることを学ぶ機会にはなってたかな。2022/12/17

西澤 隆

7
算数の話だけれど言語認識のお話し。どういう形で認識するからこんな間違いにたどり着く。とんでもない間違いだとあきれるのではなく、なぜそうなったかを考えると、そこにはちゃんと「科学」があるのだな、と。事例の説明に「固有名詞のセット感が与える影響」として華丸大吉が出てきたり「嵐の結婚」が出てきたりとサービス精神満点。このサービス精神感を、こどもの答案に対しても持って見ることができると、お互いをいろいろ追い込まずに考えられるんだろうなあ。馬鹿とか意地悪とかとはちがう、別の切り口での判断を想像する手引き。いいです。2025/02/17

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