内容説明
パリの弁護士ショーモンは古いモノが好き。仕事は順調、稼ぎも良いが、趣味の骨董収集に妻も周囲も全く関心を持ってくれない。ある日、自分そっくりの18世紀の肖像画を落札したショーモンは、その男の正体を探す旅のなかで、奇妙な偶然に巻き込まれていく……。『赤いモレスキンの女』の著者による鮮烈なデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アン
108
骨董品をこよなく愛する弁護士ショーモン。彼はオークションで自分と瓜二つの18世紀の肖像画に出会い、高値で購入するも妻には似ていないと非難されてしまう。男は誰?ショーモンはパステル画に描かれた紋章を解読し、男の正体を巡る探求の旅へと出発する…。『ミッテランの帽子』『赤いモレスキンの女』が素敵なお話だったので楽しみにしていたデビュー作。もう一つの人生の選択、情熱的な愛と自分の居場所。秘密を抱え唯一無二のチャンスに心揺れるショーモンの姿がありありと浮かび、運命の女神が微笑むよう。パリの魅惑的な香り漂うおとぎ話。2023/01/11
キムチ
73
裏表紙に有る通り、まさに「大人の童話」そしておフランス的。 フランス革命あたりの史的教養が有れば 格段に面白みは増すと思う。知的エリート(社会的に)であり、自己満足の権化とでも言おうか、そうそう人生設計が己一人の思いで完結すると思うのは甘いという教訓。その苦い汁を飲み干すつけが新たなり第二の人生。ちょっと授業代が高い感じ。筆者、これがデヴュー作であるが他2作、気になるところ。2023/03/27
天の川
67
『赤いモレスキンの女』がおしゃれで小粋な物語だったので、こちらも。こちらがデビュー作だそうです。骨董コレクターで有能な企業弁護士の男がパリのオークションハウスで見つけた自分そっくりの男の肖像画。彼は一体誰なのか。夢中になって調べていた男の前に突如として開けたのは全く違う人生。大切なコレクションも地位も名声も投げ打って勝ち得た後に、彼が知った真実とは…。ご都合主義のように思えるけれど、大人のおとぎ話なのでそれも又良し。今回もおしゃれなお話でした。2023/01/09
ばう
64
★★★ 骨董品コレクターの弁護士ショーモンはオークションで自分そっくりの謎の男の肖像画を手に入れる。それ以後、自身と妻に起こる様々な変化。そしてついにその画の男の正体を知ったショーモンのとった行動とは?『赤いモレスキンの女』『ミッテランの帽子』同様これもフランスのおしゃれな大人のための寓話。ただ、前2作の主人公が公序良俗に反する行動をとっていたのでこちらはどうなの?と思ってドキドキしながら読み始めたら…😅これは物語だから許される行動ですねぇ。この作者はこういうのが好きなの?それはともかく面白かったです。2023/02/17
pohcho
61
骨董品をこよなく愛するパリの弁護士・ショーモン。ある日、自分そっくりの18世紀の肖像画に出会った彼は、運命を感じ、オークションでその絵を高値で落札する。しかし、妻には全然似ていないとあしらわれ、落札価格で大げんかに。(これは私が妻でも怒ると思う(汗))それでも、肖像画の人物が気になるショーモンは、描かれた紋章に導かれて旅に出て、奇妙な偶然に巻き込まれていくのだった。「赤いモレスキンの女」の著者のデビュー作。既出の二作品よりわかりづらかったけど、今作もまたエスプリ漂う大人のおとぎ話だった。 2023/01/19