ちくまプリマー新書<br> 宗教を「信じる」とはどういうことか

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ちくまプリマー新書
宗教を「信じる」とはどういうことか

  • 著者名:石川明人【著者】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2022/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684394

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内容説明

科学の時代に神を信じることは出来るのだろうか? この世に悪があることを宗教はどう説明するのか? 宗教は人を善良にしたり、世界を平和にするのか? 素朴な疑問を通して、宗教と人間のリアルに迫る。

目次

はじめに/信じる者は救われる?/宗教以外にも「信じ」ていること/本書の狙い/第一章 そもそも「信じる」とは、どういう行為なのか/現代人は本当に宗教を「信じていない」のか/よくわからない「信仰」という言葉/「信じる」という動詞のさまざまな使われ方/正しいことは、わざわざ「信じ」なくてよいのでは/そもそも何を信じているのか/本当に信じていたら、むしろ「信じている」と言わなくなるのでは/「信じています」と言えば信者なのか/キリスト教徒は、本当に聖書を「信じ」ているのか/お金についての教えも「信じ」ていない?/むしろ「信じ」られない部分が必要なのか/信徒たちの「信仰」は、実はさほど徹底したものではない/宗教に限らない人間一般の傾向/マザー・テレサにおける「神の不在」/そもそも神は「信じ」る対象なのか/イエスは「信じること」にこだわったのか/イエスが人生の最期で口にした言葉/神を信じているならば、かえって疑いを口に出せるはず/「信じ」ているから、文句を言える/「素直に」という副詞は「疑う」という動詞にこそふさわしい/あまり「こだわらない」ようにする/よくわからない「信仰」/第二章 神を「信じ」ているとき、人はそれをどう語るのか/宗教を信じることは非科学的な態度なのか/宗教は科学を排除しない/「祈り」で砲弾から兵士を守れるのか/ダライ・ラマの発言/「祈り」のいろいろな側面/「主の祈り」は利益や幸福をお願いするものではない/祈りは「お願い事」ではない/ニーバーの祈り/ガリレオ裁判/神は「二つの書物」を書いた/神の存在を論証しようとするということ/神と古代の哲学者たち/「神が世界の知性である」/宗教的なピュタゴラス/宗教を批判するが、神は否定しない/「万物は魂と神々に満ちている」/神々に対するちょっぴり冷めた見方/宗教は民衆をコントロールするためのもの?/ソクラテスの告訴状/神を「信じ」たソクラテス/プラトンの宗教論/神は人間的な事柄を配慮するか/エピクロスにおける「神」/妙な「神」を信じている方がよっぽど不敬虔/宗教に批判的な立場の諸相/「無神論」という概念の広さ/ニーチェの「神は死んだ」/神の死の神学/「存在しない神に祈る」/「神は存在しない」/「神なしで生きる」/「神を棄てる」「仏を殺せ」/「信じる」の奥行き/第三章 この世には悪があるのに、なぜ神を「信じ」られるのか/耐えられない試練などない?/切実な願いも叶えられない現実/なぜ神は日本人の「悪」を放置したのか/「神義論」という問い/『なぜ私だけが苦しむのか』/不幸の理由を説明するいくつかのパターン/教育的な効果があるのか、死後の世界で埋め合わせがなされるのか/問いそのものを考え直す/ヨブの物語/「神が支配していないことがらもある」/すべてのことに理由があるわけではない/アウシュヴィッツについては「神は防ぐことができなかった」/神を「信じ」てはいるけれども/誰もが納得できる答えはない/抗議の神義論/「わからない」のに、なぜ「信じる」と言い切れるのか/幸福を得るために「信じ」ているのではない?/星野富弘の場合/口で文字と絵をかく/「神様がたった一度だけ、この腕を動かして下さるとしたら」/本当の死の時まで/「でも神さまありがとう」/三浦綾子の影響/「得たものの方が多い」/幸せとは何か/「信じる」とはいったい何か/第四章 同じ宗教を「信じ」ていれば、人々は仲良くできるのか/宗教は「個人の心の問題」?/イソップ寓話と聖書/「目からうろこ」や「復讐するは我にあり」/旧い契約と、新しい契約/新約聖書の内容/イエスは何も文章を書き残さなかった/宗教は集団で営まれるもの/人間の「標準化」としての宗教/信徒たちは平和の教えを「信じ」ているのか/キリスト教は本当に「非暴力」?/キリスト教徒たちは武力行使に躊躇しない/絶対平和主義と非暴力主義は少数派/宗教は「戦争の原因」であるとは言えない/宗教は「平和の原因」であるとも言えない/キリスト教は最初から「一つ」ではなかった/愛と平和を唱えていても喧嘩をするのが人間/教派間の対話と協同へ/「多くの宗教がある」という難問/異なる宗教とも仲良くしようとする動き/信仰を捨てることは悪なのか/芥川龍之介『おぎん』/おぎんらの棄教は悪魔にとって「成功」だったのか/何が正しいのか/第五章 神を「信じ」たら、善良な人間になれるのか/「人格者」になりたい私たち/よい生き方と学問/「ヒューマニティーズ」とは何か/「人間性」と「教養」/人文系学問に期待されていたもの/人文系の学者は人格者なのか/武道やスポーツや芸術で「人格者」になれるのか/やっぱり「宗教」なのか/弱い人々のために無償で働く/身代わりになって死んだ神父/生徒に鞭打つ聖職者/ラフカディオ・ハーン「お大の場合」/聖職者たちによる加害/教会でも人間関係の衝突がある/信仰は人を善人にする魔法ではない/ダビデ王の悪事/無宗教者・無神論者であれば善人になれるのか/プラス面もマイナス面もある/キリスト教徒であることにこだわらない/愛とは面倒くさくて嫌なもの/愛も憎しみも、人間は知らない/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

117
著者の本は「キリスト教と戦争」「キリスト教と日本人」に続き3冊目。キリスト者が、若者に、「宗教を信じる」をどう語るか興味津々で手にする。キリスト教の蛮行・欺瞞・偽善を認め、神義論の限界も示すなど、石川先生の姿勢はいつも大変フェア。でも、本書では「信じる」に、もっと踏み込んでほしかった。使徒信条を信じるということすら躊躇してどうするのか。「わかるより前に信じる」意味を噛み締めたい。一方、池田晶子さんは「考えることをせずに信じる」として宗教を批判したが、哲学者からのそういう問いに向き合ってほしかった気がする。2022/12/14

さとちゃん

12
タイトルに対する明瞭な答えは示されないものの、読み進めるに従って読み手がどう考えていくのかを味わうのが本書の狙いかと。読もうかどうしようか迷っている人は、まず、目次だけでも目を通してほしい。そもそも「信じる」とは、どういう行為なのか。神を「信じ」ているとき、人はそれをどう語るのか。この世には悪があるのに、なぜ神を「信じ」られるのか。同じ宗教を「信じ」ていれば、人々は仲良くできるのか。神を「信じ」たら、善良な人間になれるのか。ほら、読んでみたくなりませんか?2023/05/15

yumicomachi

11
問いのかたちのタイトル。答えがわかる内容かといえば、そうではない。むしろ問いに次ぐ問いの本と言っていい。宗教の中で特にキリスト教が例とされているが、その善い面と悪い面、またそもそも「善い」「悪い」とは何なのかなど、いちいち考えさせられる。参考書籍の紹介も多いし、高校世界史や倫理程度の知識が前もって求められているような感じで、ジュニア向けとは思えないが、面白く読んだ。宗教に興味がある、または信仰のある人は読んで損はないと思う。「信仰は人を善人にする魔法ではない」という言葉が印象に残った。2022年11月刊。2022/12/23

アルトアイゼン

10
「信仰」していたとしても「信じていない」部分があり、その「信仰」や対象とする神の捉え方が人によって違う。神が不条理を取り除かないことに悩み、人格者になれるという訳でもない。にも関わらず、宗教に「執着」するのは何故なのか。読了した非信徒(宗教を持たない人)はこう感じるのではないでしょうか。 自分が読む限りにおいては、宗教を内面化することで余計に悩みを抱えそうだと思います。そこまでして「宗教」を「信じる」理由に興味が湧きます。2023/01/08

Masatoshi Oyu

9
宗教や「信じる」こと・信仰とは何かということは、一見して思うほどカチッと決まっているわけではない。宗教にも矛盾はあるし、信じるからこそ疑うということも出てくる。それは信仰しているといえるのか。このあたり、ティリッヒの「信仰の本質と動態」で、信仰とは絶対的なものに全人格を預けつつ、同時に疑い考え続けることというようなことが書いてあったのと通じるように思う。本書で紹介されているマザーテレサの「神の不在」やディートリッヒ・ボンフェッファーの「神の前で、神とともに、神なしで生きる」も同様か。2023/06/17

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