ちくま新書<br> ルポ 特殊詐欺

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ちくま新書
ルポ 特殊詐欺

  • 著者名:田崎基【著者】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2022/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075154

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内容説明

騙すも地獄、騙されるも地獄――オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗などの「特殊詐欺」が社会問題化しておよそ20年、累計被害総額は5743億円、1日あたり7730万円が騙し取られている。強盗や傷害、殺人未遂事件を引き起こすなど粗暴化し、末端で犯行に及んでいるのはSNSで「闇バイト」募集から簡単にリクルートされた若者だ。本書は近年起きた事件に取材し、犯罪グループ側の組織の構図、実行の手口を犯人の視点から描く。少年から高齢者まで、全世代が警戒すべき凶悪犯罪のリアル。

目次

はじめに/第一章 暗躍する捨て駒たち/1 追い詰められる末端【出し子=川上博】/「出し子」の仕事と報酬/のまれた通帳/「もう死ぬしかない」/巡査の事件/暗転した人生/交番へ自ら/受刑/2 転々とする詐欺拠点【かけ子=木村航】/「かけ子」の巧妙な手口/紹介した「仕事」/使われるリスト/決まらぬ一番、二番/3 口開け待つ犯罪の罠【受け子、出し子=上原通雄】/「闇バイト」の実相/「ネットに晒すぞ」/犯罪意識の希薄化/マニュアル/4 「頂点」と呼ばれた男【主導役=赤城茂】/最上位者として/私は「中間管理職」/たたき上げ系/第二章 粗暴化する特殊詐欺/1 組織的強盗事件【緊縛強盗犯=吉田豊】/1000万円の強奪金が消えた/偽物の警察官/強盗を実行する/ギャンブル依存から闇バイトへ/凶悪化する手口/脅迫と通報/不用意/2 最愛の家族を守るため〝凶悪犯〟に【強盗致傷犯=桶谷博】/順風な家庭の陰に/「高収入」「グレーバイト」/最初で最後/転々、命じられるままに/横浜事件/91歳老女への凶行/証拠残さぬ悪知恵/愛妻「ちゃんと寝ているの?」/操り人形/川崎事件/「最後に1件やれ」/懲役7年6月/第三章 より巧妙に、より複雑に/1 〝飛び〟の首領と呼ばれた男【大門充博】/県境を越えた逮捕劇/犯行の構造/「飛ばれないため」/報酬の割合/横須賀事件/2 懸賞金をかけられた凶悪犯/タタキの男たち/土地勘なし、計画もなし/「金庫はどこだ!」/逃走/被害1000万円超/父の号泣/高校を中退し人生の岐路へ/〝飛び〟が飛ばれて追い込まれ/不審な封筒/「だったら飛んだ方が」/「逃げ切れないよ」/第四章 暴力団と特殊詐欺/1 組関係者の関与が引き金/典型「通帳をなくした」/損害賠償請求/和解の潮流/ある通知文/2 途絶する資金源/リクルートの方法/突き上げ捜査の困難/漸減する構成員と〝しのぎ〟/「占有屋」の排除/徹底した暴排/そしてトクサギへ/「詐欺」の圧倒的な増加/第五章 人生を見つめ直す加害者/1 ある実行犯の生い立ち/連続窃盗犯の横顔/「最後のご飯だよ」/選抜、推薦からの中退/「もう帰る家はない」/窃盗の罪で逮捕・送検/未決少年の身柄/2 悪事への着手/転落/「闇バイト」と検索/詳細なマニュアル/組織内の用語/3 慣れた手つきで次々と/スマホで警察手帳/刺す、そして出金/10日間で1000万円超/「もう、やめたい」/死んだ板は捨てる/一瞬で囲まれ連行/「自暴自棄になり」/4 逮捕後の手記/反省と不安/責任と判断/欲との闘い/5 弱き者が巻き込まれる/親しくしてくれた後輩が/中原の生い立ち/借金を勧める親友/投資話/「強盗か、闇バイトか」/足元を見つめて/加害者という被害/最終章 トクサギの行方/1 20年の時を経て/社会問題化/オフィス型の拠点は減少/かけ子の追跡/犯行の単独化/いたちごっこ/暴力団の関与/「啓発」の限界と奏功する「対策」/2 捉え方を見直さなければ/なぜ厳罰化されないのか/詐欺だけにとどまらない被害/啓発が必要なのは対若年層/捜査手法多様化の壁/3 社会構造が生み出す犯罪/富める高齢者/貧困の若年層/おわりに/自動録音機の配備/じかに声かけを/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

120
連日報道されている特殊詐欺。2003年から2021年までの累計被害額5743億円。2009年に1317億円と報じられてから約4.3倍に膨張している。オレオレ詐欺、還付金詐欺など9つの類型があり、強盗、傷害、殺人未遂など粗暴化している。著者は新聞記者。加害者への取材で、受け子、出し子、運搬役など細分化され、テレグラムなと証拠が残らならずトイレやコインロッカーを利用した巧妙な手口と暴力団の関与。なにより若者がSNSで高額の闇バイトと知りつつ簡単に加害者となり家族への暴力を脅しに沼にはまり込む危険性を指摘する。2023/02/02

ma-bo

71
特殊詐欺の実態を逮捕された犯人側(末端の実行犯が多い)からフォーカスしてまとめたノンフィクションルポ。ただ事件の羅列に終始しまとまりに欠けていた様に思う。もう少し分析や対策等にも言及してほしいかな。2023/01/02

みこ

43
特殊詐欺の実態を逮捕された末端の実行犯に取材を重ねることで書き記す。若者やお金に困った人たちが気軽に高額バイトに手を出そうとした結果、詐欺の片棒を担がされる。挙句、トカゲの尻尾切りのように切り捨てられ、組織の中枢にまで捜査の手が及ばないようになっている。NHKなどテレビでは騙されないようにと啓発しているが、違法薬物同様、若者たちに安易に手を出さないように伝えることも重要である。2022/12/24

ぽてち

38
オレオレ詐欺やキャッシュカード詐欺盗等を総称して特殊詐欺という。こんな馬鹿げた詐欺に引っかかるわけはないと慢心していると、最近こいつらは強盗にも変わるらしいから油断ならない。しかも奴らには“上”がいて、ノルマを課されているのだとか。楽して金を稼げるはずが、非正規雇用と変わらない(むしろもっと悪い)境遇に落ちてしまう。さらには暴力団までもが参戦してきて楽しい限りだ。読みながらいろいろ対策を考えたが、極貧暮らしのぼくはなにも心配する必要がなかった。内容は良いのに校正漏れが多すぎる。この手の本では致命的だ。2023/01/12

livre_film2020

36
最近よく特殊詐欺の犯罪が報道されているため、どういう実情なのか知りたくて読んだ。逮捕されるのは10-20代がほとんどだが、彼らは末端で、上層部から切り捨てられた存在だ。上層部や支持役と実行部隊とには繋がりがない。記録が消えるSNS(テレグラムやシグナル)を用いて犯行が支持され、受け渡しは接触しなくてよいコインロッカーや公衆トイレで行われる。最初に個人情報を晒した上で闇バイトを請け負うため、「やめたい」と言えば恐喝されて犯罪を強要される。全ての始まりはSNS。高収入を謳う闇バイトに応募するところから始まる。2023/05/21

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