ちくま新書<br> ケルトの世界 ──神話と歴史のあいだ

個数:1
紙書籍版価格
¥968
  • 電子書籍
  • Reader

ちくま新書
ケルトの世界 ──神話と歴史のあいだ

  • 著者名:疋田隆康【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075161

ファイル: /

内容説明

ギリシア・ローマやキリスト教と並ぶもう一つのヨーロッパの源流とされ、 日本でも根強い人気を誇るケルト文化。だが、 近年ではケルト神話やケルト音楽からイメージされるような島のケルトと歴史上のケルト人との連続性にはさまざまな異論があり、なかにはその実在を疑う「ケルト否定論」すら展開されている。では、古代ケルト人とは何者だったのか。 著名な神話を入り口に、それを考古学的・歴史学的知見と照らし合わせることで、古代ケルトの生活世界へと分け入る入門書。

目次

まえがき/第1章 ケルトの起源/1 神話にみる起源/ケルトの神話/アイルランド人の起源/トゥアタ・デー・ダナン/ミールの息子たち/ダーナ神話の原形/アウグスティヌスの六時代区分論/2 通説とケルト否定論/ブリテン諸島への到来/ケルト人についての通説/ハルシュタット文化/ラ・テーヌ文化/ケルト的辺境/ケルトに対する疑念/ケルト否定論/ケルトをめぐる論争/ケルト語の扱いをめぐる相違/3 矛盾する証拠/分子生物学の援用/アフィントンの白馬/遺伝子研究の問題点/コラム ケルト人の外見/第2章 宴と決闘/1 ケルトをめぐる古典文献/民族誌的記述のはじまり/ポリュビオス/ポセイドニオスと紀元前一世紀の著作家たち/ローマ帝政期の著作家たち/2 宴と酒/マック・ダトーの豚/ケルト人の宴/古典文献との類似点/ケルト人の食生活/飲み物/ケルト人とビール/ケルト人とワイン/ガリアでのワイン醸造の発展/3 貨幣の役割/地中海との交易/ケルトのコイン/コインの機能/交易と貨幣/コラム 伝説の地アレシア/第3章 英雄の宿命──インド ヨーロッパの遺産/1 クー・フリンの生涯/クー・フリンの出生/名前の由来/名声と短命の予言/クー・フリンの結婚/クアルンゲの牛捕り/不死身の英雄との戦い/『マハーバーラタ』の物語/ケルト人の戦車/2 英雄の最期/アイフェの息子の死/英雄による息子殺し/クー・ロイの死/クー・フリンの最期/罠による英雄の最期/インド ヨーロッパ語族の三機能区分/3 ケルト文化とインド ヨーロッパの要素/首切りゲーム/ガウェインと緑の騎士/頭部信仰との関連性/ケルト人の暦/コリニーの暦/インド ヨーロッパ的要素との関連/コラム ケルト人の部族/第4章 文字の発明/1 史料としての碑文/ケルト人の言語/ガリア語碑文/古代ケルト人の文学/2 ケルト社会の諸側面/コインの銘/ケルト社会の政務官/ケルト人の政治体制/三〇〇人の評議会/移民/歓待の札/奉献碑文/3 生活の諸相──恋愛、呪い、魔術/ケルトの女性/恋愛/呪いの碑文/魔術/ラルザックの鉛板/コラム ケルト人の住む世界はどうみられていたか/第5章 神々と風土/1 ケルトの神々/ケルトの宗教/エポナ/ケルヌンノス/テウタテス/エスス/タラニス/祖先信仰/ローマの神の名で記録された神々/メルクリウスとマルス/ルグス/アポロ/ユピテル、ミネルウァ/マトロナエ/2 神話と英雄伝説/古代ケルト人の神話物語/ケルト人の起源と通俗語源説/ローマ占領と英雄伝説/3 ドルイドと死生観/ケルト社会共通の存在?/ドルイドの役割/魂の不死/ローマ支配下でのドルイド/生贄/コラム ケルト人の教育/第6章 オシアンの夢/1 フィアナ物語/オシアンの夢/フィアナ物語/ジーァルマジとグラーネの追跡/フィンとフィアナの最期/2 傭兵と地中海世界/ケルト人傭兵/デルフォイ侵攻/ガラティア王国/エジプトのケルト人傭兵/ケルト人傭兵とポエニ戦争/傭兵活動/3 ロマン主義とケルト/オシアンとロマン主義/好古家からの批判/ロマンティックなケルト・イメージの普及/コラム ケルト人の音楽/おわりに/あとがき/図版出典

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

67
20世紀後半に、ケルト否定論が出てきた、というのはオドロイタ。ケルト文化、流行りすぎたからかな ケルトについてざっと概観。読み易いです。フィアナ物語、とかも知っときたい。 マハーバーラタも登場。 著者の写真、なんでTシャツw2023/02/13

サアベドラ

38
いわゆる「ケルト」の歴史・神話・文化の入門書。2022年刊。著者の専門は古代ケルト史。御存知の通りケルトはかなりややこしい事情を抱えているが、そこら辺の研究史の込み入った話は第1章で軽く触れられるのみで、それ以降は中世ケルト(アイルランドやウェールズの神話伝承)と古代ケルト(ローマの歴史家の記述や考古学の知見から復元されたケルト)がないまぜに語られている。要するに一応現在の論争には触れるが、大筋は従来の枠組みを踏襲するスタイル。良くも悪くも無難な作りだが、昨今の論争を知ってる人からすると少々物足りない。2023/02/08

サケ太

23
かなり興味深かった。ケルト人、ざっくりとしたイメージは持っているものの、どこに存在していたか、どのような民族などは答えられない。様々な史料を参考にしつつ、「ケルト人」の生活や信仰について迫っていく。個人的に傭兵の話は興味深い。クー・フーリンやフィンなど彼らの神話は多くのゲームなどでも取り上げられており、知っているワードも多く面白かった。2022/11/20

さとうしん

15
ケルトの神話伝説と他地域の印欧語族のそれとの比較や、古典文献、出土資料を駆使したケルト人の生活習慣、宗教思想の解説が面白い。本書によると「ケルト人」という括りは自己認識というよりは他者認識の側面が強いようで、この点は中国古代の蛮夷戎狄との比較もできそうで興味深い。2022/11/18

武井 康則

13
古代、ケルトと名乗り、自認した民族はいない。常に外部から呼ばれたグループだった。それが近代になってケルトにロマンティックな意匠がかけられ、20世紀末には音楽や芸術で注目され、実態が感じられず曖昧なまま、その末裔だとアイルランドが言って民族の証明にしようとして逆に、客観的に証明できる実態があったのかという逆風になる。本書ではケルトと言われたグループの神話や伝承、歴史の叙述などを挙げて、文化の面から、我々がケルトと呼んだ民族が確かにいたことを述べている。2024/07/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/20308576
  • ご注意事項

最近チェックした商品