ちくま新書<br> 戦争と平和の国際政治

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ちくま新書
戦争と平和の国際政治

  • 著者名:小原雅博【著者】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 筑摩書房(2022/11発売)
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  • ISBN:9784480075208

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内容説明

世界は「100年に一度の大変局」(習近平国家主席)の時代に突入した。長年外交の第一線に携わり、その後東京大学で教鞭をとった著者が、実務と理論の両面から国際政治の本質を明らかにし、その上で日本周辺の危機を読み解き、ウクライナ戦争の意味と国際秩序の変動を論じる。米中対立で不透明感を増す日本の平和と繁栄をどう維持して行くか、国家生存の課題を問い直す。

目次

はじめに/序章 ロシアによるウクライナ侵攻の衝撃/1 専門家はなぜ読み誤ったか?/2 【検証その1】ロシアはウクライナに侵攻しない?/「合理性の罠」/プーチンの誤算/国際政治の想定と現実の「ずれ」/抑止力の欠如/3 【検証その2】キーウ陥落は時間の問題?/欧米の軍事分析とその後の展開/ロシアのウクライナ侵攻が意味すること/第1章 国際政治の座標軸──パワー・利益・バランス/1 国家と国際社会の体系/三者体系バランスの崩壊/2 利益の体系/国益の重要性と概念の曖昧性/死活的国益/私益、業益、省益、地方益/ウィン・ウィンの陥穽/3 パワーの体系/パワーとは何か?/軍事力/経済力/国力の基礎的要素/パワーの強制性/シャープパワー/4 パワーバランス/勢力均衡論の是非/脅威への均衡/5 経済相互依存か価値の同盟か?/『大いなる幻想』/エア・クロウの洞察/6 価値の重さ/国際政治と価値(法と道義)/正義と力/国際秩序と価値/香港の自由か中国の市場か?/六語のツイートが提起した問題/民主主義の後退と権威主義の広がり/第2章 カギを握る戦略とインテリジェンス/1 戦略/「戦略」とは何か?/戦略とパワー/グランド・ストラテジー/戦略の欠如/地政学的戦略の失敗/戦後日本に戦略はあったか?/国際協調と日米同盟/米国の世界戦略の変遷/戦略的中国/2 インテリジェンス/情報とインテリジェンス/情報ミステリーというギャップ/「情報戦」(ヒューミントから情報操作まで)/天安門事件と現場の情報力/「想定外」の駐ペルー大使公邸占拠事件/国連安保理と情報の真偽/キューバ危機と日本の情報収集・分析力/ウクライナ侵攻とロシアの情報・宣伝戦/第3章 日本を取り巻く危機──尖閣諸島、南シナ海、台湾海峡、朝鮮半島/1 戦争の始まり方/「座して敵の第一撃を待つか?」/中国の「後発制人」と「核兵器の先制不使用」/トゥキディデスの「小さな事件や紛争」と日本周辺のホットスポット/2 尖閣諸島/中国の領有権主張と現状変更の動き/中国公船の活動の増加/日本による有効支配と日米安全保障条約/3 南シナ海/南シナ海の「軍事化」という中国の力による現状変更/国際仲裁裁定と「九段線」/中国の人工島は排他的経済水域と大陸棚を有さず/「航行の自由作戦」の意味と効果/「法の支配」対「法による支配」/ソクラテスの論駁/日本の死活的国益としての南シナ海/4 台湾海峡/緊迫する台湾海峡/「上海コミュニケ」が残した難題とキッシンジャーの願い/平和統一か武力統一か?/「中華民族の偉大な復興」と台湾人アイデンティティー/米国の「戦略的曖昧」と中国のレッドライン/台湾海峡は一触即発/中国人民解放軍の優位/台湾侵攻シナリオ/台湾の「ハリネズミ」戦略──「非対称能力」の強化/台湾のアキレス腱/中国の心理戦と台湾人の覚悟/5 朝鮮半島/非核化失敗の歴史/「米朝枠組み合意」/六者協議「九・一九共同声明」/史上初めての米朝首脳会談/シンガポール共同声明の曖昧性と空文化/圧力と対話──「悪党」論と「臆病者」論/イラン核合意と「力任せの外交」/戦争をする能力と意思/実効性ある経済制裁とは?/カギを握る中国/日本の対北朝鮮政策/抑止力の強化と危機管理/第4章 プーチンの戦争/1 プーチンの世界観/「偉大なロシア」の物語/プーチンの論理/「ロシア世界(ルスキー・ミール)」/2 冷戦後のヨーロッパ秩序/北大西洋条約機構(NATO)の脅威/「NATOの東方不拡大」という約束はあったのか?/失敗した全欧州安全保障秩序/3 戦争への道/プーチンの登場とドイツの「宥和」/帝国のレバンキズム/プーチンの戦争/ウクライナ戦争の影響と含意/第5章 国際秩序の変容/1 国際秩序とは何か?/国際秩序の形成と国内秩序との関係/ウェストファリア秩序とリベラルな秩序/2 中国の国際秩序観/国連中心の国際秩序/国際秩序の変革と「人類運命共同体」/民主かカネか?/アフリカも変える中国マネー/3 国際秩序をめぐる攻防/三つのシナリオ/リベラル秩序後退を象徴したミャンマー/アフガニスタン復興・民主化の失敗/「自由で開かれたインド太平洋」/「民主主義サミット」と米国の強靱性/民主主義の立て直し/中国の「民主」/民主と自由/終章 危機の行方/1 平和の危機/「新たな戦場」と「新しい戦争」/核の恫喝/2 グローバルな危機/「選択のジレンマ」/気候変動という不都合な真実/感染症パンデミック/3 国家の危機/米国内政への不安/「大砲もバターも」という中国の勢いは続くか?/中国共産党の「歴史決議」と中国の行方/日本は踏みとどまれるか?/4 強靱なヒトと社会が築く日本の未来/ヒトの強靱化/社会の強靱化/あとがき/【参考文献】

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

65
現在の状況が分かる良い本です。ちょっと難しく感じたけど。 暗澹となる、特に日本近海。 北朝鮮、日本に向けたミサイル、ノドン200発。核ミサイルは10分で到達。 台湾有事、2024~2027が危険。 世界は今やリベラル対非リベラル。しかも後者優勢。 う~ん2023/02/13

ちぃ

17
ウクライナの戦争が始まった時は、動機も何も分からず、なぜこんなことを突然始めたのだろうと思ってた。ずっと世界は不安定だったけど、コロナ禍以降不安定さが生活に繋がってくることを痛感し、戦争反対でも専守防衛とか言ってられないかもと思うようにもなった。各国トップは何を考えていて、その背景にはどんな歴史や思想があるのか、深く入る前、全体的な構図を掴んで調べる手がかりをもらった。不満をいうだけでなく当事者として考えて行動する必要がある。勤労に励み税金納めて消費で経済回して投票行って…自分の行動が何に繋がってるか?2023/04/22

バルジ

6
国際政治の入門書として最適。国際政治を構成する3つの体系である力・価値・均衡の概念を整理した上で日本が直面している4つの危機のホットスポットである尖閣・南シナ海・台湾・朝鮮半島の情勢を論ずる。全体的に国際政治の基礎に立ち返りながら時事を論じておりバランスが取れている。本書の特徴的な面は著者が外交官時代に培った情勢分析の一旦を語っている部分であろう。天安門事件やペルーの大使館人質事件等、年表を彩るいくつかの事件に著者は当事者として立ち会う。特に天安門事件当時の情勢分析は読み応えがある。2023/05/27

6
国際秩序・国際政治史はもちろん、インテリジェンスやウクライナ侵攻、国内政治、民主主義の価値など、多岐に渡るテーマで簡単にまとめられないが、とても勉強になった。日本を取り巻く危機=台湾危機や朝鮮半島危機については、今後の非常に厳しい見通しに、なんとも暗い気持ちになった。2023/03/26

お抹茶

3
400ページ弱の分厚い新書。法の支配を担保する普遍的権力が存在しない国際社会で,アメリカ,中国,ロシア・ソ連を中心とした秩序の対立を読み解く。日本がいかに緊迫した情勢に囲まれているかということにも筆を割いていて,朝鮮半島情勢,台湾有事の可能性,南シナ海などに触れながら,積極防御を基本姿勢とする中国と核ミサイル開発を進展させる北朝鮮に対して専守防衛の日本という,秩序の違いから生じる危機にも警鐘を鳴らす。中国は軍事力やイデオロギーの力を使わず,経済力で時間をかけながら低コストで一帯一路という新秩序を生み出す。2023/01/28

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