内容説明
女性判事・片陵礼子の経歴には微塵の汚点もなかった。最高裁判事への道が拓けてもいた。そんな彼女はある男が気になって仕方ない。かつて彼女が懲役刑に処した元服役囚。近頃、裁判所の前に佇んでいるのだという。違和感を覚えた礼子は調べ始める。それによって二人の人生が宿命のように交錯することになるとも知らずに......。感涙のミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
78
10年に一度の逸材と言われ判事となった「片陵礼子」。感情を忘れ、仕事と家庭生活を卒なくこなしていたはずが、過去に処した男が「門前の人」となった事で、己の中で眠っていた感情が動き出した。過去の事件の再調査を始めた中で、幼少期の境遇が似通っていた事と、悲痛な事実が浮かび上がってきた。惹かれる心と汚名を晴らしてあげたい心情が渦巻く。もう少しゆとりある時間をあげたかった。切なすぎる結末を向え、こちらも消沈した。2023/07/10
カブ
40
1年の終わりに素敵なお話に出会える幸せ。本当に読んで良かった。2022/12/18
よっち
39
最高裁判事への道も見えてきたエリート女性判事・片陵礼子。そんな彼女がかつて懲役刑に処した元服役囚が近頃、裁判所の前に佇んでいることを知るミステリ。学生時代から優秀で経歴には微塵の汚点もなかった礼子。違和感を覚えた彼女が調べ始めたことで気づく過去の事件の真相。裁判官になりそこねたプライドの高い夫や義母との関係、礼子の扱いで忖度する上司といった人間関係に鬱屈を抱える礼子が、再審へと動いていたのは果たして何のためだったのか…感情の赴くままに動いたがゆえの何とも後味の悪い結末を純愛とするのには抵抗感がありました。2022/12/12
肉嬢★
37
最後の解説の方も書いてましたが自分も初めてこの作品で作者を知りました。全体的に重い内容だったけど描写がとてもキレイで、そこまで重く受けず続きが気になり、どんどん頁を捲ってた。購入したきっかけはタイトルと、あらすじを見て即決!判事と元服役囚という設定が面白いな~と思い。裁判官はあまり馴染みが無いけど作中で分かりやすく説明されていたのでスラスラ最後まで読めた。礼子には自分の居場所を見つけて幸せに生きてほしい。他の作品も読んでみたくなった。2023/04/20
さち@毎日に感謝♪
32
表紙が印象的で、単行本の時に気になっていた本。初読み作家さんです。誰にも感情を見せない礼子が元服役囚の蛭間と出逢ってしまった事で人生が交錯し、かけがえのない人となっていく展開が丁寧に描かれていると思いました。それぞれの人に運命の人っているんだなとも思いました。2023/03/11