内容説明
私たちが普段読む本には、冒頭に目次や序文や献辞があり、ページ数が振ってあり、文章は句読点で句切られ、時折書体を変えて強調されている。巻末には索引がついていたり、時には正誤表が挟み込まれていたりもする。持ち歩いたり寝そべって読んだりするのに文庫本サイズはとても便利だし、書店に高く積まれたベストセラーには興味をそそられる。
実は、いま太字で強調したものすべては、今からおよそ500年前、たった一人の人物によって生み出されたものである。グーテンベルクによる活版印刷技術の発明からわずか半世紀後の自由都市ヴェネツィアを舞台に出版の世界に大変革を巻き起こし、現在も使われている書籍の体裁を発明した“出版界のミケランジェロ”ことアルド・マヌーツィオの激動の物語。
目次
第1章 アルドの遺産
第2章 人文主義の思想
第3章 出版人への道のり
第4章 アリストテレスとギリシャ古典文学
第5章 『ポリフィルス狂恋夢』、究極の美しさ
第6章 『デ・エトナ』と活字の誕生
第7章 ウェルギリウス、ペトラルカ、ベストセラーの誕生
第8章 ヘブライ語聖書
第9章 ベンボ『アーゾロの談論』とエラスムス『格言集』
第10章 敵と志願者
第11章 マヌーツィオと死の後継者
第12章 アルドの遺産
謝辞/訳者あとがき/参考文献/参照した一次資料/アルドの出版物リスト/索引