内容説明
本書は「スターリン率いるソビエト共産党は、日本へ向かうユダヤ人への通過ビザを発給したのか?」との疑問から出発しています。
300点を超す膨大な写真と図解、公文書の数々が語りかける、ユダヤ問題の史実。
関係者の誰もが語ることなく埋もれかけた歴史の断片。これまで日本人にはなじみの薄かったユダヤ人、イスラエルが思いもかけぬ形で眼前に現れます。
本書を通じて見えてくる現代の国際社会。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
123
杉原千畝がユダヤ難民を救ったとされる「命のビザ」だが、実際はスターリンの黙認下で出されていた。杉原は周囲にいるドイツ、ソ連、ポーランド、リトアニアのスパイに情報を小出しにして役に立つ者と認識させていた。バルト三国のソ連編入でユダヤ人の処遇な問題になると、その立場を利用してユダヤ人のシベリア鉄道利用をソ連が妨害しないとの内諾を取り付け、ビザを発行したプロセスが浮かび上がる。外交官にあるまじき独断専行だが、学歴偏重の外務省で下っ端扱いされた憤懣と復讐があったのか。人道主義の裏にある人間心理の闇が浮かび上がる。2023/01/05
てんてん
1
杉原千畝の「命のビザ」に関連する事柄について、紀元前4000年前のユダヤ教の発端から現在の当事者の証言に至るまで解説している本。写真や図を多用されており、とても読みやすかった。当時の書類が残っていなかったり、生き証人が多くを語らなかったりで、結局、「命のビザ」の謎は多い。なぜ杉原が、政府の命令を無視してビザの発給を行ったのすらわかっていない。しかし、私は、彼が窮地に立たされていたユダヤ人を救うために人道的に行動した結果だと信じたいし、その行いを誇りに思う。2024/11/14
-
- 和書
- 高分子の表面改質と応用