内容説明
最期を迎える場所として、ほとんどの人が自宅を希望する。しかし現実は異なり、現在の日本では8割の人が病院で最期を迎える。では、「家で死ぬ」にはどうすればいいのか。実際には、どのような最期を迎えることになり、家族はなにを思うのか――。
著者は、在宅死に関わる人々や終末期医療の現場に足を運び、在宅医療の最新事情を追った。何年にもわたる入念な取材で語られる本音から、コロナ禍で亡くなった人、病床ひっ迫で在宅を余儀なくされた人など、現代社会ならではの事例まで、今現在の医療現場で起こっていることを密着取材で詳らかにしていく。
2025年以降、死亡者数が急増すると見込まれている多死社会の到来において、個人の希望はさておき、現実的に「病院では死ねない時代」がやってくるともいわれる。それでも、自分がどこで死ぬかを具体的にリアルに考え、死というゴールを見つめることは、“だから今をどう生きるのか”につながっていく。人が死に向かう過程で懸命に生きる人々の記録でもある一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒデキ
51
介護が、目の前に迫っているかもしれない立場だと 身につまされる話 色々な視点があったのが、参考になりました2023/04/21
ごへいもち
28
モヤモヤが残った。とても理想的に書かれているこんな病院が近くにあればいいけれど。それから介護のために正社員→アルバイトになった娘に感謝しているという人、なんか違うんじゃないのと思った2023/06/22
みこ
28
最期の時を住み慣れた我が家で家族に囲まれて。そんな美辞麗句に対する現実を紹介。ただ、決して不都合な真実ばかりでなく、実際に恵まれた最期を迎えられた事例も紹介しているのでまさに実録である。本書に登場する在宅医は家族の負担はゼロであることが理想と語るが、良かった事例を見るとそれでも家族に恵まれたから穏やかな最後を迎えられたような気もする。理想的な最後というものに正解はない。だからこそ皆苦悩する。2022/12/05
roatsu
22
著者も述べているが現役世代、特に介護保険料納付年齢を超えた者は必読と思う。自宅で命を終える、をテーマに今の日本の老病死の現場を伝える力作。看取りまでの日々の事例として登場する様々なご本人と家族の姿には時に胸が苦しくなるが、概ねこういう経過を辿るのだという実に貴重な経験の共有である。老いと共に、また老いずとも不意に襲う傷病で必ず誰にでも訪れる死を見据え、備えよ常に、なのだとつくづく思う。第2章と第3章では在宅診療や訪問看護、そして介護保険制度の整理が具体例をもってなされ大変明瞭に利用イメージを持てると思う。2022/11/23
kitten
15
図書館本。今の団塊の世代が亡くなる多死時代には、病院で死ぬこともできなくなるかも。自分の希望だけを言うのであれば、そりゃ、病院と家なら家で死にたいわ。でも、そうすると家族に多くの負担がかかるのも確か。美談だけではすまない。その辺の現実のルポ。在宅医の、「家族の負担は0でいいんです」はびっくりした。その分、医療、介護スタッフの負担をうまく使わないといけないんだけど。実際、なんちゃって在宅では往診まで手が回らんのは仕方ないと思う。しかし、24時間対応は負担が大きいのよ。2022/12/28