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内容説明
現在のドイツの源流になった神聖ローマ帝国。その初代皇帝・オットー1世の人生は戦いにまみれたものだった。身内からの反乱にイタリア遠征、そして強敵ハンガリーとの戦争。オットー1世の生涯を辿ることで、中世ヨーロッパが見えてくる。
【本書の内容】
●五賢帝時代からハインリヒ一世の登場まで
●父ハインリヒの遺産
●兄と弟の反乱
●第一次イタリア遠征
●息子リウドルフの反乱
●レヒフェルトの戦い
●第二次イタリア遠征
●皇帝戴冠
●束の間の帰郷
●第三次イタリア遠征
●ビザンツ帝国との対立
●帰郷、そして死
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
113
信玄や信長、家康ら戦国大名数人分の伝記をまとめて読んだ気分。有力諸侯が血まみれの争闘を繰り広げていた十世紀の東フランクで、父の築いた国は継承したが弟や息子に叛かれたオットーが果てしない戦いを続け、ついには神聖ローマ帝国の初代皇帝にのし上がったのだから。その後も国造りや外征で休む間もなく、妻子兄弟のほとんどを失った晩年は働きバチの日本人を見ているようだ。いわば江戸幕府と明治政府を同時に創設したようなもので、彼の王朝成立がなければドイツがなかったかもしれないと思えば、確かに世界史上の偉人と称すべき存在だろう。2023/01/31
サアベドラ
33
オットー1世の一般向けの評伝。2022年刊。著者は同新書の『神聖ローマ帝国』を書いた人で、専門はむしろオーストリア・ハプスブルク。ほぼ同時代のお隣りのカペー朝と同様、ちょっと強い諸侯レベルの王権をいかに強化・安定させるかが第一で、皇帝位やイタリア政策はむしろそのための手段。オットーのイタリア遠征がドイツ人の国民意識を芽生えさせたという主張は少々盛りすぎだと思うが(さすがに時代が早すぎる)、この時点で諸侯や教皇との対立、イタリア政策、東方植民といった中世ドイツを取り巻く諸要素がほぼ出揃っているとは言える。2023/03/25
kk
27
図書館本。神聖ローマ帝国の初代皇帝オットー一世の事績を簡潔に紹介しつつ、中世中欧の時代的な特徴やその後のドイツの歩みに及ぼされた影響などを語るもの。オットー帝のイタリア問題への取り組みが、ドイツにおける国民意識の醸成と領邦分立化の助長の双方に同時に繋がったとのズバッとした指摘、感心させられました。基本的にとても親切な語り口なのですが、いかんせん初めて目にするような人名、地名がテンコ盛り。途中、出てくる人々の人間関係や既往の経緯が頭の中でこんがらがってしまったり。面白く感じつつも、それなりにたいへんでした。2023/02/18
鐵太郎
26
ドイツという国、国家、地方、故郷がまだなかったはるかな昔、自分はドイツ人だなどとまったく思わなかった、分裂したカール大帝のカロリング帝国の破片の一つ、ザクセン大公家に生まれた男が、のちにドイツ人の帝国と言われた中欧からイタリアまで占める神聖ローマ帝国を構築した物語。晩年弟たちがすべて死去し、7人の子供たちのうち5人まで失い、そして王朝を確立したその絶頂期に60歳という(当時では)高齢で寿命を終えた豪胆かつ繊細な男の生涯を、菊池良生さんはいつもの軽やかな筆致で見事に描き出しています。この人の文章、好き。2025/07/15
MUNEKAZ
24
書名と副題を入れ替えたほうがよいのでは。オットー大帝の行った統一事業と度重なるイタリア遠征が、バラバラだった東フランク王国の諸侯に一体感を生み、「ドイツ人」意識を生んだというのが本書の主題。ただガチでドイツ人の誕生を考えたければ、参考文献にある三佐川先生の本を読んだほうが良いわけで、本書は手練れた著者の語り口に乗りながら、中世ヨーロッパの傑物による国盗り物語を楽しむのが吉かなと。イタリア政策、聖職叙任権、独立的な諸侯とのちの神聖ローマ皇帝たちを縛る要素が、この時点ですべて出揃っているのが面白い。2023/01/30
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