文春文庫<br> 空の声

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文春文庫
空の声

  • 著者名:堂場瞬一【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 文藝春秋(2022/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167919580

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内容説明

まだテレビ中継がなかった時代――。

玉音放送を担当し、NHK「話の泉」の司会で国民的人気を博したアナウンサー・和田信賢。
彼は戦後初めて日本が参加する夏季オリンピックに派遣されることが決まる。
念願だったオリンピック中継だが、無頼な生き方を貫いた和田は、
長年の無理がたたって体調を崩していた。

「どうしても、オリンピックを中継したい」
その一心で、男は、大会の舞台・北欧ヘルシンキへと向かう。
現地から「日本人を鼓舞する」中継を続けるも次第に病は重篤になり、ついに――。

戦争に敗れ自信を失った日本人に、夢と誇りを抱かせてくれたヘルシンキ五輪。
スポーツ小説の名手・堂場瞬一が、選手以上にその生きざまに惹きつけられたという
主人公の魅力とは?

※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された
単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

93
堂場さんの最新刊文庫で刑事ものだと思っていたのですが、スポーツものだったのですね。私は堂場さんのスポーツものを読んでいないのでしまったと思ったのですが、ヘルシンキ・オリンピックのNHKの実況アナウンサー和田信賢の生涯を追ったもので非常に印象に残りました。この伝説的なアナウンサーは終戦の玉音放送や「話の泉」の司会者であったことは知っていましたが、その詳しい人物論は知りませんでした。ヘルシンキに行くまでの状況やその後病を発症しながらも実況放送を行い、その後パリで客死したことを書かれていて感動的な話でした。2022/11/12

鈴木拓

23
1952年、ヘルシンキオリンピック。多くの人がスポーツ中継をラジオで聞いていた時代。人気アナウンサーだった和田信賢をはじめ「伝えること」を仕事とするプロフェショナルたちの思いがあった。画像のない実況中継で、聴き手にその臨場感を伝えることの面白さと緊張感。ある意味で小説もその類だが、実況中継は限られた言葉でそれを伝えなければいならない。命を削って伝えようとした人々の裏側には、一人一人のドラマもあったのだと気づく。多くの映像に囲まれて生活しているが、学生時代はラジオをよく聞いていたことを思い出した。2023/04/07

スプリント

12
戦後、日本がオリンピックに復帰する記念すべき大会として全国民が盛り上がりを見せる中、急激に体調が悪化していく主人公。その対比がとても印象に残りました。2023/02/25

鈴木 千春

8
粗筋︙ 玉音放送を担当したNHKの人気アナウンサー和田信賢は戦後初めて参加できるヘルシンキオリンピックの中継をするべく、が、機上で体調が悪化した。 感想︙ 堂場瞬一氏のスポーツ物は数冊読んでいて、主人公の心情変化が刻一刻と描写され、読み進むうちに一緒に走っている。 今回は、アナウンサーで体調の不調心情の克明な描写。 お陰様で、胃の調子が悪く、軽い頭痛を感じながら読了した。著者のあとがきで「仕事を果たせなければ行った意味がない」「そんなに体調が悪いなら行かなければよかったのに」と言われたとの事。 同感です!2022/12/11

あつし@

7
筆者のあとがきを先に読んでしまったので、この物語の主人公の最期の様子を知ってしまい中々読み進めなくなってしまった。この物語で双葉山の連勝記録が途切れた時の実況アナウンサー、8月15日の終戦放送の進行役等を務めたNHKアナウンサー和田信賢の業績と人気を初めて知った。パリで出会った加藤周一医師とはあの加藤周一氏なのであろうか。北欧の白夜と街の描写と刻々と悪化していく体調の記述が相まって、何か陰鬱で最期をいやでも予感させてくれる展開だ。あとがきを読まずに作者の筆にまかせて読み進めばよかったかと思う。2022/12/17

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