内容説明
日蓮<出生>の謎を解く!
「まさにコロンブスの卵だ」
本郷和人氏(東京大学史料編纂所教授)が驚愕した日蓮研究の最前線が、これだ。
日蓮は貧しい漁民か役人の子とされる。ならば何故、幕府は一介の僧を二度も流罪にしたのか。政権が恐れたのは政治的影響力で、出生に関係する。論考は、門弟との関係を分析し、日蓮の父母に辿り着く。実は教団は将軍家に近かった。日蓮から見た鎌倉史はスリリングだ。信仰の原形も再現する。
<本郷和人氏推薦!>
なぜ、今まで気付けなかった?「日蓮の出自について」には驚愕し、納得した。「日蓮と将軍家」は解釈は分かれようが、私は大好きだ。日蓮を政治から見てみる。面白い! ――帯より――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
9
日蓮の伝記などを選んだあとで再読した。本郷和人の書く、殺伐・北条得宗を思い浮かべると、これが実情ではないかという気持ちが強くなる▲殺伐リアリズムな、しかし、ガチめな法華の行者指向である著者の意を汲むと、南無妙法蓮華経の題目を唱えることも、板曼荼羅も、凡夫が救済されるための行ではなく、南無阿弥陀の念仏のお株を奪うためのものだし、板曼荼羅も密教の曼荼羅をそうするものだし、日蓮の行動目的は、自らが国師となることであった。著者は「信じさせる人」と書いている2023/05/14
kenitirokikuti
9
ちょうどこの2023年のGWに鎌倉の遊行寺や安国論寺などを見て回ったので、そうだな、と思った。日蓮の父母の特定、父が伊東祐時、母が千葉成胤の娘、という細かい指定を吟味できるほど私は知識がないが、頼朝同様に貴種性があるからああであったのだ、と常識的に考えたらそうだな。2023/05/07