内容説明
2017年4月、長崎海星高校2年の男子生徒が首つり自殺した。いじめを示唆する遺書が残され、後に加害者の実名が記されたノートも発見された。
親族のみでひっそりと葬儀を終えた両親に対し、学校の教頭は自殺を「突然死」や「転校」に偽装することを提案する。学校がいじめを隠蔽しようとしているのではないかと疑問を持った両親は、息子がいじめを苦に自殺したことを全校生徒や保護者に伝え、再発防止に努めてほしいと要望する。
学校は自殺の原因を調査する第三者委員会を設置するが、第三者委がいじめと自殺の因果関係を認める結論を出すと、その報告書の受け入れを拒否する。両親が2019年2月に記者会見してその事実を公表すると、全国的な大きなニュースとなった。 だが、その後も、報告書を受け入れて再発防止策を履行するように県の指導を受けながらも、学校が態度を改めることはなかった。
そして、両親の会見から3カ月後、長崎海星高校では新たな自殺者が出た――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
119
いじめで自殺した事件のルポだが、「キリスト教学校の闇」という副題の言葉が気になって手にした。いじめと認定した第三者委員会の報告書を受取ることすら拒否する長崎・海星高校の不遜な態度に胸糞が悪くなる。文科省児童生徒課も県学事振興課も県教委も盥回しで逃げ回る。その背景に、私学の自主・独立を尊重する私立学校法の壁があると言う。いじめ防止対策推進法に罰則規定がないことも知る。それは「学校の良心を信じている」からだと言う。母体がマリア会で司祭が理事長というこの学校ですら、良心の欠片もないというのが教育界の現実なのか。2022/11/27
遥かなる想い
83
2017年に長崎海星高校で発生した生徒の自殺をめぐる5年間の両親の闘いの記録である。 立て続け生徒が死を選ぶ学校とは何なのか… 子供が自殺すると その親にはどんな現実が降りかかるのか…学校と両親との攻防が丁寧に描かれる。いじめ自殺問題の根の深さを世に問う、ノンフィクションだった。2023/10/07
羊山羊
15
もはやサイコホラー。長崎県海星高校で起きた1人の生徒の自殺。両親が、真相の究明と再発防止の為に学校と戦う過程を描いたルポ。何がすごいって学校側の圧倒的な不誠実さ、そしてそれを可能にする学校側に有利に作られた法整備。学校を守るためのものがいつしか生徒の人権を踏みにじるものになってしまった。例えば本著中でも指摘されているが、いじめ防止対策推進法は、学校側への罰則規定が存在しない。2023/04/02
いとう・しんご singoito2
10
読友さんきっかけ。取り上げられている高校生の自殺という事実を隠蔽し責任を逃れようとする人々の姿勢も、もちろん重く受け止められるべきであり、目をそらすべきではないのです。しかしそれ以上に、筆者のジャーナリストとしての真摯な努力や思いそのものが感動的であり、そこにも本書の醍醐味と価値があります。読んで損のない一冊。2023/11/02
sasha
7
どんな有名校でも、どんな理念を掲げても、学校内で起きたことを一切認めようとはしない学校は、最底辺であると思う。第三者委員会が「いじめ」と認定しても、その報告書さえ受け取りを拒否するってなんだ?学校は治外法権か?こんな学校を相手に、長い長い闘いを挑んだご両親の信念に感服する。2023/03/07
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