内容説明
年下男性との愛の体験を赤裸々に綴り衝撃を呼んだ、 ベストセラー小説 「昨年の九月以降わたしは、ある男性を待つこと──彼が電話をかけてくるのを、そして家へ訪ねてくるのを待つこと以外何ひとつしなくなった」離婚後独身でパリに暮らす女性教師が、妻子ある若い東欧の外交官と不倫の関係に。彼だけのことを思い、逢えばどこでも熱く抱擁する。その情熱はロマンチシズムからはほど遠い、激しく単純で肉体的なものだった。自分自身の体験を赤裸々に語り、大反響を呼んだ、衝撃の問題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
522
アニー・エルノーは初読。本書は1992年の刊行なので、フランスの最先端に位置する現代文学といっていいだろう。小説は一貫して「私」によって語られる。そして、その内実はひたむきな情事への"passion"である。それが"passion"であるが故に、未来や恋の行く末、ましてや成就といったものはなく、存在するのは現在時と過去だけである。しかも、その現在時でさえも、テキストとして「書かれた」のであるから、彼女が「書いていた」時点での現在時に過ぎない。その不毛は「書く」ことにおいてのみ実在するかのようである。2021/12/30
ehirano1
142
本書がノーベル文学賞作品であることは読後に知りました。不倫の自叙伝でした。印象に残ったのは、「・・・贅沢と言えるのは知識人の生活を営むことだと信じた。今の私には、贅沢とはまた、ひとりの男、またひとりの女への激しい恋(パッション)を生きることができる、ということでもあるように思える」で、道徳面は一旦置いておいて、贅沢の対象が非物質というのは確かに贅沢だと思いました。2024/01/24
まふ
119
女性のストレートな性愛物語。わずか100ページ余の短編だが東欧の若い妻帯者であるAへの作者の一途な思いは恋情というより肉欲の渇えというべきだろう。この作者らしく虚飾のない文章で単刀直入で語られて、ある意味覚悟を決めた開き直り的なすがすがしさを感じる。発表当時賛否両論があったそうだが、反対派は男性に多かったというのも興味深い。ここまで書かれてはかなわん、ということだったのだろうか。2023/05/23
新地学@児童書病発動中
104
作者の体験に基づいた恋愛小説。自分の性的な欲求までも包み隠さず淡々と描いていく率直さに、心を打たれた。研ぎ澄まされた文章が見事で、恋の情熱を描きながら言葉自体は美し澄んだトーンがある。この小説を読むと、どうしてもグレアム・グリーンの『情事の終わり』を思い浮かべてしまう。似た内容で、あちらは男性の視点から描かれている。グリーンの小説は信仰の問題まで踏み込んで描かれるので、その点はこの小説に物足りなさを感じた。この小説ではパッションという言葉が多く使われる。(続きます)2018/07/23
Apple
100
激しく単純で肉体的(あらすじより)。感情的に語るのではなく激しい感情を客観的に述べているので、パーソナルになりすぎず、人々の共感を集めるような作品になっているのではないかと思いました。男性Aを思い出させるようなものを忌避するかと思いきや、彼がいるときに読んだ本やバスローブなどに自身の情熱の残滓を見出しているように思えます。彼がいない痛みさえも、激しい恋を生きる贅沢だと捉えているように思われました。短くて、丁寧なあとがきもついているので、結構お勧めできるような本であったと思います。2023/02/07
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